Category Archives: アン先生の記事

山羊の診療Diary 症例15 子山羊の下痢・沈うつ

*山羊の診療Diary  症例15 子山羊の下痢・沈うつ

今回の症例は・・・

オーナーさんより、子山羊のゆきぽよちゃんが元気がなく下痢をしている
という連絡がありました。

お話を伺ってみると、3日前にお家にゆきぽよちゃんをお迎えしたそうです。
オーナーさんは山羊さんと暮らすのがはじめとのことでした。
今日の朝から、草は食べているものの、座り込んでいることが多く、
うんちが泥状になったのを心配して連絡をくれました。

さっそく、ゆきぽよちゃんを診察してみると・・・
元気がなくオーナーさんの足下でうずくまっていました。


おしり周りが汚れていて、うんちも泥状でした。
お熱は39.1℃で聴診では特に問題はありませんでした。
前のお家の他の子山羊さんたちの中でゆきぽよちゃんは
一番小さく痩せていたということでした。
確かに、ここ数日の食欲不振というよりは痩せていて
少し栄養の状態が良くないように思いました。

何度か下痢の症例を取り上げているので復習になりますが、
下痢の原因には大きく分けると以下の3つがあります。

食餌性 中毒や過食、変質飼料など
感染性 ウィルス・細菌・寄生虫など
環境性 寒さやストレス(神経性)など

そこで今回の治療は・・・

感染性の下痢の可能性を考えて、抗生物質と駆虫剤の注射を行いました。
また、子山羊さんは体調が悪くなると低体温と低血糖を起こしやすいので
ブドウ糖の静脈注射も一緒に行いました。

そして、今回は食事指導(ミルクの追加)も行いました。
ゆきぽよちゃんは正確なお誕生日がわかりませんが、
体の大きさや状態から考えると、まだ草ではなくて
ミルクからの栄養が必要な月齢に思われました。
山羊さんは草食動物で草を食べる動物ですが、赤ちゃんの頃は草を消化してくれる
第1胃よりもミルクの栄養を吸収する第4胃の方が大きくなっています。
そのため、草を食べていても上手に吸収されず、ミルクからの栄養が必要になります。

そこで、ミルクを温めて、
ゆきぽよちゃんにあげてみると・・・

ミルクを飲んでくれました!
今日はこのまま様子を見て頂くことにしました。

次の日、オーナーさんからお電話があり、
うんちはころころうんちになり、
ミルクも飲んで元気が出てきたとのことでした。
このまま、ミルクをあげるのを続けていただき
栄養状態の改善をしていただいて
様子を見ることになりました。

お家のわんちゃんのはなちゃんとも
すっかり仲良しのゆきぽよちゃん。
このまま、すくすく大きくなって、
みんなと仲良く暮らせますように。

レンタル山羊

みなさん!

「レンタル山羊」をご存知ですか?

お友達が送ってくれた記事で私は知りました。

記事はこちら・・・

https://finders.me/articles.php?id=879&fbclid=IwAR0cDc5-NqZzaNRFwFbjeBdzG863pd93ftkbaroh4ho5-2QESbiw26RsA80

レンタル山羊とは。

草刈り代行サービスの山羊さんのことです。

機械の代わりに山羊さんが除草をします。

メリットは、

・機械の燃料を使用しないので環境にやさしい
・除草剤を使用しない
・崖など機械が入れないところでも除草できる
・刈り終わった草がゴミにならない(山羊さんが食べるから!)

デメリットは、
・鳴き声が大きくてご近所に迷惑になる
・逃げ出すことがある

そして・・・
・可愛すぎてレンタルしても返せなくなる!!
そして、山羊ロスになる・・・

おもしろーい。

わたしがお世話をしている、ゆうきさんのやぎ牧場の山羊さんたちにも
依頼がないかなーと思っていたら、
なんとレンタル山羊の依頼が来ました。
近くの大きな牛の牧場の草刈りです。

そして、選ばれたのが、
だいわくんとあめちゃん。

ふたりのお仕事の様子を見に行ってみると・・・

だいわくん

あめちゃん

ふたりとも、名前を呼ぶとお仕事を中断して
かけよってきてくれました。

ふたりとも元気だった?

草がいっぱいだね・・・
大変な仕事だね・・・
もう、帰りたいよね・・・

以上、わたしの心の中。

そして、気がつきました。

あっ、私がさみしいんだ。

記事にないデメリットがもうひとつ。

貸し出す方も
さみしくなり山羊ロスになる・・・

だいわくん、あめちゃん
元気にお仕事がんばって、
草をもりもり食べて
はやく牧場に帰ってきてねー。

 

院長追記〉〉〉

ヤギ除草の本当のメリットは、「常時除草」だと私は思います。

動物を飼う事になるので、手間はそれほど減りません。除草能力も刈払機のように一度に全てキレイにはなりません。

でも、うまく管理すれば、雑草を抑えた環境を常に保っていられる可能性があります。

レンタルではそのメリットを感じるまで、時間がかかるかもしれませんが、ヤギと暮らす練習や体験としてはいいのかなと思います。

ヤギに心癒されて、楽しみながら環境整備ができたなら、気の合うヤギさんをお迎えしてみてください。〈〈〈

山羊の診療note6 ~山羊の去勢について~

山羊の診療note6 ~山羊の去勢について~

ゆうきさんのお家のけんとくん雄(4ヶ月齢)の去勢手術をしました!

*山羊の去勢手術

去勢の時期:生後3ヶ月ごろ

これより早いと尿道の発育が悪くなって、尿石症を起こす確率が高くなるといわれています。

方法:2つの方法があります。

・観血去勢
陰嚢を切開して、精巣を摘出する方法。

・無血去勢
陰嚢を切開せずに、皮膚の上から精管や血管などを挫滅する方法。

それでは、けんとくんの去勢手術を順を追って見ていきましょう。
今回は観血去勢を行いました。

①はじめに麻酔の注射をします。

②陰嚢を消毒します。
切開後の感染を予防するためです。

③陰嚢摘出します。

片方ずつ、陰嚢を切開して精巣を摘出します。
1.陰嚢の皮膚の下側の睾丸の真ん中の部位を精巣を出せる程度を切開します。
2.次に鞘膜(精巣を包んでいる膜)を切開して、精巣を出します。
3.精索(精巣がつながっている管の部分)を鉗子で挟み精巣からはがします。
4.鉗子で血管と精管を挟み、糸で縛り、切断して精巣を摘出します。

片側が終わったら、同じ手順でもう一つの精巣も摘出します。

④切開した部分に抗生物質をかけます。

⑤抗生物質の注射をします。

⑥麻酔をさますお薬を注射して終わりです。

この後、1週間は傷が腫れないか観察します。

去勢手術が必要な場合は、獣医さんに相談してくださいね!

そして・・・
去勢を望まない場合、
3ヶ月齢になる前には、雄山羊さんと雌山羊さんを別々に飼う必要があります。
なぜかというと、山羊さんは早熟で離乳後1ヶ月もすると、生殖活動がはじまるからです。
そのため、雄と雌を別々に飼うようにしないと、雌子山羊さんが妊娠してしまします。
体の小さいうちに妊娠してしまうと、妊娠した雌山羊さんの発育に影響するのと、
難産の可能性が高くなるので注意が必要です。

山羊の診療Diary 症例13-2 犬による咬傷(経過)

*山羊の診療Diary  症例13-2 犬による咬傷(経過)

前回の続きです・・・

犬にかまれてケガをしてしまっためーめーちゃんの1週間後の再診です。

前回、痛みとおそらく犬に咬まれたショックでしょんぼりしていた、
めーめーちゃん。

経過はどうかなーと診察に行ってみると・・・

ご機嫌に草を食べていました。
よかったー!!
全身状態はだいぶ良さそうです。

オーナーさんにお話を伺うと、
食欲、元気が戻ってきたとのこと。
お薬も1週間しっかり、飲ませてくれたそうです

そして、傷口を確認します。
2カ所の大きな傷のうち一カ所は、傷ももう少しでふさがりそうです。

これははこのままで大丈夫。

しかし、反対側の傷は、まだ傷口が大きいままでした。

このままオーナーさんに消毒をしながら様子を見ていただき、
傷がふさがらない時は、ご連絡いただき縫合をすることにしました。

オーナーさんのご家族として、
そしてお庭の除草係として活躍しているめーめーちゃん。
今は、夜は小屋で眠っているそうです。
ゆっくり休んで元気になってね!!

山羊の診療Diary 症例14-2 子山羊の斜頸(終診)~腰麻痺疑い~

*山羊の診療Diary  症例14-2 子山羊の斜頸(終診) ~腰麻痺疑い~

前回の続きです・・・

腰麻痺の疑いで、斜頸になってしまったさしみちゃんの1週間後の再診です。

初診の後、駆虫剤のイベルメクチンの投与を2日間行い、
オーナーさんに人工哺乳をお願いし、経過を見ていました。

そして、1週間後・・・
さしみちゃんの診察に行くと・・・

元気になっていましたー!!

お母さん山羊さんのそばで草を食べる、さしみちゃん。
元気になってよかったねー。

オーナーさんはこの1週間、人工哺乳を頑張って続けてくれました。

腰麻痺は、経過がいろいろで、1週間で回復することもあれば、
1か月以上の経過が必要な時もあります。
そして、残念ながら、麻痺が残ることもあります。

このように早期の駆虫薬の投与と看護によって
回復する場合もあるので、希望を捨てずに
できる看護やリハビリをすることが大切だと感じました。

そして、動物の生命力。
自分で回復する力を持っている。
そこを信じないとね。

元気になったさしみちゃんを見て
わたしも元気になりました。
ほんとうにうれしかったな。ありがとう。

そして、
オーナーさん、看護おつかれさまでした。
さしみちゃん、どうかこのまま元気にね!

山羊の診療Diary 症例14 子山羊の斜頸 ~腰麻痺疑い~

*山羊の診療Diary  症例14 子山羊の斜頸 ~腰麻痺疑い~

今回の診療は・・・

子山羊のさしみちゃんが立てなくなったという連絡がありました。

さしみちゃんは、生後40日齢の子山羊さんです。

現場に向かいお話をオーナーさんに伺ってみると
食欲はあるものの、立てずにうずくまっているということでした。

診察してみると・・・

熱 39.3℃
咳やくしゃみなし
触診で肢に骨折やケガなど運動器の異常なし
斜頸(頭が片方に傾いている)
食欲あり(草を手であげると食べる)
脱水 なし

聴診 頻脈
腹部膨満なし
便確認 問題なし

さしみちゃんを支えて立たせてみると・・・
ふらふらとはしていましたが、立って歩くことはできました。
しかし、顔を斜めに傾けている(斜頸)の症状が見られました。

子山羊さんで「立てない」という症状があらわれる病気は

低血糖
腰麻痺
骨折や捻挫など後ろ脚の異常
胃腸の病気
発熱

などがあります。

腰麻痺は名前からイメージすると、腰や後ろ足の麻痺だけのように感じますが、
神経が損傷された部分に症状が出るので、今回のように斜頸という形で症状が現れることがあります。


また、さしみちゃんはまだ40日齢の子山羊さんですが、
腰麻痺は感染してから2週間から1か月で症状が現れるので、
腰麻痺を十分疑える状況でした。

そこで今回の治療は・・・

イベルメクチンの投与

現時点で可能性が高い病気が腰麻痺のため、
駆虫剤としてイベルメクチンの投与をおこないました。
これは症状が出ているため3日間続けます。

ブドウ糖の静脈注射
食欲はあるというもののいつもより量が少ないので食欲刺激のため、
また、子山羊さんは体調不良の時に低血糖を起こしやすく、
低血糖がさらに病状を悪化させるため、ブドウ糖の投与を行いました。

抗生物質の注射

微熱があったので感染症の可能性も考え注射をしました。

抗炎症剤の注射

腰麻痺による神経損傷の炎症を抑えるため注射をしました。

症例12の大人の山羊さん同様、
腰麻痺疑いの場合、早期の駆虫剤の投与と
神経症状が改善するまでの間の看護がとても重要になってきます。

さしみちゃんの場合、まだ生後40日齢の子山羊さんなので、
栄養状態を維持してあげることが必要です。
頭が傾いている斜頸の状態、そしてふらふらしているので
お母さんのおっぱいを吸えていない可能性が高いです。
また草だけでは、この月齢の子山羊さんは元気ではいられません。
そのため、オーナさんには人工ほ乳をお願いしました。

続く・・・

山羊の診療Diary 症例13 ~犬による咬傷~

*山羊の診療Diary  症例13  ~犬による咬傷~

今回の症例は・・・

山羊さんが犬に咬まれてけがをしているという連絡がありました。

ご自宅に伺って見ると・・・
オーナーさんのお家のお庭で暮らしている
山羊のめーめーちゃんが元気なくうつむいていました。

オーナーさんにお話を伺ってみると、
昨日の夜中に、野犬に襲われているところを近所の人が気がついてくれて、
助けたときにはすでに咬まれた後だったということでした。

ケガの状態を見てみると・・・
両方の後ろ足が血で汚れています。
出血の場所や咬まれた場所はどこかを確認するために
はじめにお水で洗浄しました。

すると両後ろ足の太ももの部分に傷が見つかりました。

傷のまわりの毛をカミソリで剃り、さらに傷を洗浄して消毒をしました。

そして、
傷を保護するために包帯をつけました。
最後に抗生物質の注射をして、今日の治療は終わりになりました。

傷が化膿しないようにオーナーさんに明日から抗生物質を飲ませてもらうことに。

投薬の仕方は
お口の脇から歯のないところに指を入れて、そのまままっすぐ、のどの奥にお薬を入れます。
お口を手で押さえて閉じて、ごっくんと飲み込むまで待ちます。

1週間後、傷の様子を再診することになりました。

野犬に襲われてしまった、めーめーちゃん。
いつもは小屋で夜、過ごしていますがこの日はたまたま
外に出たままになっていたそう。

診療の後、オーナーさんはめーめーちゃんが再度、犬に襲われないように
夜はこれから必ず小屋にしまうとお話されていました。
そして、犬が入れないか山羊小屋の点検もされていました。

山羊さんが野犬に襲われる事故があるので、夜間はとくに山羊さんが
安心して過ごせるよう、山羊小屋に野犬が侵入できないかなど
気をつけてあげてくださいね。

3-3=12?

たまには牛さんのこと。

突然ですが・・・計算問題です。

3-3=?

私が大きな声で0といったら、
農家さんも院長先生も・・・みんなあきれ顔。
ほんとうなら答えはあっているのに!!
なんでー。

牛の農場では

3-3=12
2-3=11
1-3=10

になります。

いったいこれは何の式?

これは牛の分娩予定日の算出方法なのでした。

牛の妊娠期間は285日。
えーっと。
今日種付けした牛はいつ生まれるかというと・・・。
普通に考えると頭がこんがらがるので
簡単に出産予定日を算出できる式があります。

牛の分娩予定の算出方法は・・・

種付けの月から3を引いて、日にちに10を足す

です。

だから先ほどの式をよく見ると・・・

3月の3か月前=12月
2月の3か月前=11月
1月の3か月前=10月

なのでした。

たとえば・・・
10月20日に種付けなら?

→10月から3を引いて7月、20日に10足して30日。

答えは7月30日に出産予定になります。

わーい、簡単にできた!

これならすぐに種付け日から出産予定がわかりますね。

それでは早速練習してみましょう~。

*練習問題

4月5日種付けなら?

→4月から3を引いて1月、5日に10を足して15日。

答え 1月15日に出産予定

*応用問題

2月3日種付けなら?

→2月から3を引いて-1月は11月、3日に10を足して13日。

答え 11月13日に出産予定

*さらに応用問題

1月25日種付けなら?

→1月から3を引いて-2月は10月、25日に10を足して35日・・・35日は次の月に繰り上がって4日になります。

答え 11月4日に出産予定

できましたかー?

そして、最後はやっぱり山羊さんのこと!
山羊さんはというと・・・
妊娠期間が150日(5か月)なので、
種付けした月に5を足すだけで大丈夫です。なんてシンプル!

わたしはやっぱり山羊が好きー。

山羊の診療Diary 症例12-2 山羊の起立不能(経過)~腰麻痺疑い~

*山羊の診療Diary  症例12-2 山羊の起立不能(経過)~腰麻痺疑い~

前回の続きです・・・

診療2日目

腰麻痺の疑いで、立てなくなってしまったみやちゃんの再診2日目です。
今日も駆虫剤の注射を続けます。

腰麻痺は、指状糸状虫によって神経が損傷された部位にもよりますが
神経の損傷が軽いうちに駆虫剤の投与を行えば回復の可能性が高くなります。
その経過は、1日で回復することもあれば、1ヶ月以上経ってから回復することもあります。
しかし、残念ながら、麻痺がそのまま残ってしまうこともあります。

治療自体は駆虫剤の投与で終わりですが、
回復までの間に飼い主さんができることがあります。
それは、看護とリハビリです。
座りっぱなしによる褥瘡(床ずれ)や誇張症を防止すること、
栄養状態が悪くならないようにすることが大切です。
また、足腰の筋肉が弱らないようにリハビリも重要になってきます。

今回、みやちゃんの看護とリハビリについていろいろ考えました。
先ほどの理由により、
一日に何度か立たせてあげることが必要ですが、
みやちゃんは70kg体重があり、なおかつ出産前でおなかも乳房も大きくなっています。

そこで、ロープを使って、お腹や乳房に負担にならないように縛り、
オーナーさんが一人でも滑車などを使って持ち上げるのはどうかと考えました。

はじめに、ゆうきさんにロープワークのアイディアをいただいて、
まずは小さな山羊さんで練習。

その後、院長先生にその縛り方を応用していただいて、
最終的にオーナーさんと一緒に持ち上げることができました。



そして、一週間一日3回くらいみやちゃんをも持ち上げてもらい、
リハビリをしていただくことになりました。

1週間後・・・

オーナーさんの懸命な看護とリハビリの結果、
みやちゃんは後ろ足と前足の片方には力が入るようになり、
そして、自分で立とうという意欲が出てきました。

しかし、前足の片方が曲がったままになり伸ばせなくなっているのは続いていました。

みやちゃんは今回、前足に強く症状がでているようです。
腰麻痺という名前から腰や後ろ足が麻痺してしまうイメージを受けますが、
このように前肢の麻痺で立てなくなることもあります。

前足に、義足のような支えになるものがあればもしかしたら立てるかもしれないと
可能性を探っています。

今後もリハビリを続けていただきながら、出産まで頑張れるように
みやちゃんとオーナーさんのサポートを続けられたらと考えています。

*山羊の診療Diary  症例12  山羊の起立不能(初診) ~腰麻痺疑い~

*山羊の診療Diary  症例12 山羊の起立不能(初診) ~腰麻痺疑い①~

今回の症例は・・・

出産を1か月後に控えた山羊さんが立てなくなったという連絡が来ました。

みやちゃんは体重70kgくらいのおっきな山羊さんです。

まずはじめにみやちゃんのオーナーさんからお話を伺いました。
昨日から急に座り込んでしまい立てなくなってしまったそうです。
食欲と元気はあって、うんちやおしっこも問題ないということでした。
そして、一ヶ月後に出産を控えているとのことです。

診察をしてみると・・・

体温 39.5℃
咳やくしゃみなし
触診で肢に骨折やケガなどなし
右側の乳房腫脹
脱水 なし
聴診異常なし
腹部 妊娠により大きくなっている以外は膨満などなし
便確認 問題なし
陰部からの触診 外子宮口 指1本分開口

山羊さんが「立てなくなった」という症状があるときに考えられる病気は

・腰麻痺
・骨折や捻挫など後ろ脚の異状
・誇張症などの胃腸の病気
・感染症による発熱で全身症状が悪化している
・乳房炎

などがあります。

今回、みやちゃんの問診及び診察から、
腰麻痺が一番に疑われました。

腰麻痺とは指状糸状虫という寄生虫が蚊から山羊さんの脳や脊髄に入り、
神経を損傷する病気です。
感染後、2週間~1か月後に症状があらわれます。
そして症状は神経が損傷された部分によって異なります。

主な症状として・・・

・突然の腰部や後肢の麻痺
・歩様のふらつき
・起立困難
・頭が片方に傾く(斜頸)
・顔面神経麻痺により涎を垂らす、ごはんが食べられなくなる
・前足の麻痺で起立できない

などがあります。

腰麻痺は山羊さんにとって重要な病気の一つなので改めて
「山羊の診療note」でお話ししますね。

今回の治療は・・・
・イベルメクチン注射

腰麻痺の治療のため、駆虫剤のイベルメクチンの投与をおこないました。
これは症状が出ているため3日間続けます。

・抗生物質の投与

乳房に熱感・硬結があり産前の乳房炎の可能性も考えられたので
抗生物質の注射をしました。

・ブドウ糖静脈注射
食欲はあるというもののいつもより量が少ないので食欲刺激のため
ブドウ糖の投与を行いました。

最後に、
オーナーさんに、立てないみやちゃんがごはんを食べやすいように、
お顔の前にごはんを置いてあげることや体の下に乾草などを敷いて、
褥瘡ができないようにしてもらうことをお伝えし初日の診療は終わりました。

続く・・・