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山羊の診療Diary 症例14-2 子山羊の斜頸(終診)~腰麻痺疑い~

*山羊の診療Diary  症例14-2 子山羊の斜頸(終診) ~腰麻痺疑い~

前回の続きです・・・

腰麻痺の疑いで、斜頸になってしまったさしみちゃんの1週間後の再診です。

初診の後、駆虫剤のイベルメクチンの投与を2日間行い、
オーナーさんに人工哺乳をお願いし、経過を見ていました。

そして、1週間後・・・
さしみちゃんの診察に行くと・・・

元気になっていましたー!!

お母さん山羊さんのそばで草を食べる、さしみちゃん。
元気になってよかったねー。

オーナーさんはこの1週間、人工哺乳を頑張って続けてくれました。

腰麻痺は、経過がいろいろで、1週間で回復することもあれば、
1か月以上の経過が必要な時もあります。
そして、残念ながら、麻痺が残ることもあります。

このように早期の駆虫薬の投与と看護によって
回復する場合もあるので、希望を捨てずに
できる看護やリハビリをすることが大切だと感じました。

そして、動物の生命力。
自分で回復する力を持っている。
そこを信じないとね。

元気になったさしみちゃんを見て
わたしも元気になりました。
ほんとうにうれしかったな。ありがとう。

そして、
オーナーさん、看護おつかれさまでした。
さしみちゃん、どうかこのまま元気にね!

山羊の診療Diary 症例14 子山羊の斜頸 ~腰麻痺疑い~

*山羊の診療Diary  症例14 子山羊の斜頸 ~腰麻痺疑い~

今回の診療は・・・

子山羊のさしみちゃんが立てなくなったという連絡がありました。

さしみちゃんは、生後40日齢の子山羊さんです。

現場に向かいお話をオーナーさんに伺ってみると
食欲はあるものの、立てずにうずくまっているということでした。

診察してみると・・・

熱 39.3℃
咳やくしゃみなし
触診で肢に骨折やケガなど運動器の異常なし
斜頸(頭が片方に傾いている)
食欲あり(草を手であげると食べる)
脱水 なし

聴診 頻脈
腹部膨満なし
便確認 問題なし

さしみちゃんを支えて立たせてみると・・・
ふらふらとはしていましたが、立って歩くことはできました。
しかし、顔を斜めに傾けている(斜頸)の症状が見られました。

子山羊さんで「立てない」という症状があらわれる病気は

低血糖
腰麻痺
骨折や捻挫など後ろ脚の異常
胃腸の病気
発熱

などがあります。

腰麻痺は名前からイメージすると、腰や後ろ足の麻痺だけのように感じますが、
神経が損傷された部分に症状が出るので、今回のように斜頸という形で症状が現れることがあります。


また、さしみちゃんはまだ40日齢の子山羊さんですが、
腰麻痺は感染してから2週間から1か月で症状が現れるので、
腰麻痺を十分疑える状況でした。

そこで今回の治療は・・・

イベルメクチンの投与

現時点で可能性が高い病気が腰麻痺のため、
駆虫剤としてイベルメクチンの投与をおこないました。
これは症状が出ているため3日間続けます。

ブドウ糖の静脈注射
食欲はあるというもののいつもより量が少ないので食欲刺激のため、
また、子山羊さんは体調不良の時に低血糖を起こしやすく、
低血糖がさらに病状を悪化させるため、ブドウ糖の投与を行いました。

抗生物質の注射

微熱があったので感染症の可能性も考え注射をしました。

抗炎症剤の注射

腰麻痺による神経損傷の炎症を抑えるため注射をしました。

症例12の大人の山羊さん同様、
腰麻痺疑いの場合、早期の駆虫剤の投与と
神経症状が改善するまでの間の看護がとても重要になってきます。

さしみちゃんの場合、まだ生後40日齢の子山羊さんなので、
栄養状態を維持してあげることが必要です。
頭が傾いている斜頸の状態、そしてふらふらしているので
お母さんのおっぱいを吸えていない可能性が高いです。
また草だけでは、この月齢の子山羊さんは元気ではいられません。
そのため、オーナさんには人工ほ乳をお願いしました。

続く・・・

山羊の診療Diary 症例13 ~犬による咬傷~

*山羊の診療Diary  症例13  ~犬による咬傷~

今回の症例は・・・

山羊さんが犬に咬まれてけがをしているという連絡がありました。

ご自宅に伺って見ると・・・
オーナーさんのお家のお庭で暮らしている
山羊のめーめーちゃんが元気なくうつむいていました。

オーナーさんにお話を伺ってみると、
昨日の夜中に、野犬に襲われているところを近所の人が気がついてくれて、
助けたときにはすでに咬まれた後だったということでした。

ケガの状態を見てみると・・・
両方の後ろ足が血で汚れています。
出血の場所や咬まれた場所はどこかを確認するために
はじめにお水で洗浄しました。

すると両後ろ足の太ももの部分に傷が見つかりました。

傷のまわりの毛をカミソリで剃り、さらに傷を洗浄して消毒をしました。

そして、
傷を保護するために包帯をつけました。
最後に抗生物質の注射をして、今日の治療は終わりになりました。

傷が化膿しないようにオーナーさんに明日から抗生物質を飲ませてもらうことに。

投薬の仕方は
お口の脇から歯のないところに指を入れて、そのまままっすぐ、のどの奥にお薬を入れます。
お口を手で押さえて閉じて、ごっくんと飲み込むまで待ちます。

1週間後、傷の様子を再診することになりました。

野犬に襲われてしまった、めーめーちゃん。
いつもは小屋で夜、過ごしていますがこの日はたまたま
外に出たままになっていたそう。

診療の後、オーナーさんはめーめーちゃんが再度、犬に襲われないように
夜はこれから必ず小屋にしまうとお話されていました。
そして、犬が入れないか山羊小屋の点検もされていました。

山羊さんが野犬に襲われる事故があるので、夜間はとくに山羊さんが
安心して過ごせるよう、山羊小屋に野犬が侵入できないかなど
気をつけてあげてくださいね。

3-3=12?

たまには牛さんのこと。

突然ですが・・・計算問題です。

3-3=?

私が大きな声で0といったら、
農家さんも院長先生も・・・みんなあきれ顔。
ほんとうなら答えはあっているのに!!
なんでー。

牛の農場では

3-3=12
2-3=11
1-3=10

になります。

いったいこれは何の式?

これは牛の分娩予定日の算出方法なのでした。

牛の妊娠期間は285日。
えーっと。
今日種付けした牛はいつ生まれるかというと・・・。
普通に考えると頭がこんがらがるので
簡単に出産予定日を算出できる式があります。

牛の分娩予定の算出方法は・・・

種付けの月から3を引いて、日にちに10を足す

です。

だから先ほどの式をよく見ると・・・

3月の3か月前=12月
2月の3か月前=11月
1月の3か月前=10月

なのでした。

たとえば・・・
10月20日に種付けなら?

→10月から3を引いて7月、20日に10足して30日。

答えは7月30日に出産予定になります。

わーい、簡単にできた!

これならすぐに種付け日から出産予定がわかりますね。

それでは早速練習してみましょう~。

*練習問題

4月5日種付けなら?

→4月から3を引いて1月、5日に10を足して15日。

答え 1月15日に出産予定

*応用問題

2月3日種付けなら?

→2月から3を引いて-1月は11月、3日に10を足して13日。

答え 11月13日に出産予定

*さらに応用問題

1月25日種付けなら?

→1月から3を引いて-2月は10月、25日に10を足して35日・・・35日は次の月に繰り上がって4日になります。

答え 11月4日に出産予定

できましたかー?

そして、最後はやっぱり山羊さんのこと!
山羊さんはというと・・・
妊娠期間が150日(5か月)なので、
種付けした月に5を足すだけで大丈夫です。なんてシンプル!

わたしはやっぱり山羊が好きー。

山羊の診療Diary 症例12-2 山羊の起立不能(経過)~腰麻痺疑い~

*山羊の診療Diary  症例12-2 山羊の起立不能(経過)~腰麻痺疑い~

前回の続きです・・・

診療2日目

腰麻痺の疑いで、立てなくなってしまったみやちゃんの再診2日目です。
今日も駆虫剤の注射を続けます。

腰麻痺は、指状糸状虫によって神経が損傷された部位にもよりますが
神経の損傷が軽いうちに駆虫剤の投与を行えば回復の可能性が高くなります。
その経過は、1日で回復することもあれば、1ヶ月以上経ってから回復することもあります。
しかし、残念ながら、麻痺がそのまま残ってしまうこともあります。

治療自体は駆虫剤の投与で終わりですが、
回復までの間に飼い主さんができることがあります。
それは、看護とリハビリです。
座りっぱなしによる褥瘡(床ずれ)や誇張症を防止すること、
栄養状態が悪くならないようにすることが大切です。
また、足腰の筋肉が弱らないようにリハビリも重要になってきます。

今回、みやちゃんの看護とリハビリについていろいろ考えました。
先ほどの理由により、
一日に何度か立たせてあげることが必要ですが、
みやちゃんは70kg体重があり、なおかつ出産前でおなかも乳房も大きくなっています。

そこで、ロープを使って、お腹や乳房に負担にならないように縛り、
オーナーさんが一人でも滑車などを使って持ち上げるのはどうかと考えました。

はじめに、ゆうきさんにロープワークのアイディアをいただいて、
まずは小さな山羊さんで練習。

その後、院長先生にその縛り方を応用していただいて、
最終的にオーナーさんと一緒に持ち上げることができました。



そして、一週間一日3回くらいみやちゃんをも持ち上げてもらい、
リハビリをしていただくことになりました。

1週間後・・・

オーナーさんの懸命な看護とリハビリの結果、
みやちゃんは後ろ足と前足の片方には力が入るようになり、
そして、自分で立とうという意欲が出てきました。

しかし、前足の片方が曲がったままになり伸ばせなくなっているのは続いていました。

みやちゃんは今回、前足に強く症状がでているようです。
腰麻痺という名前から腰や後ろ足が麻痺してしまうイメージを受けますが、
このように前肢の麻痺で立てなくなることもあります。

前足に、義足のような支えになるものがあればもしかしたら立てるかもしれないと
可能性を探っています。

今後もリハビリを続けていただきながら、出産まで頑張れるように
みやちゃんとオーナーさんのサポートを続けられたらと考えています。

*山羊の診療Diary  症例12  山羊の起立不能(初診) ~腰麻痺疑い~

*山羊の診療Diary  症例12 山羊の起立不能(初診) ~腰麻痺疑い①~

今回の症例は・・・

出産を1か月後に控えた山羊さんが立てなくなったという連絡が来ました。

みやちゃんは体重70kgくらいのおっきな山羊さんです。

まずはじめにみやちゃんのオーナーさんからお話を伺いました。
昨日から急に座り込んでしまい立てなくなってしまったそうです。
食欲と元気はあって、うんちやおしっこも問題ないということでした。
そして、一ヶ月後に出産を控えているとのことです。

診察をしてみると・・・

体温 39.5℃
咳やくしゃみなし
触診で肢に骨折やケガなどなし
右側の乳房腫脹
脱水 なし
聴診異常なし
腹部 妊娠により大きくなっている以外は膨満などなし
便確認 問題なし
陰部からの触診 外子宮口 指1本分開口

山羊さんが「立てなくなった」という症状があるときに考えられる病気は

・腰麻痺
・骨折や捻挫など後ろ脚の異状
・誇張症などの胃腸の病気
・感染症による発熱で全身症状が悪化している
・乳房炎

などがあります。

今回、みやちゃんの問診及び診察から、
腰麻痺が一番に疑われました。

腰麻痺とは指状糸状虫という寄生虫が蚊から山羊さんの脳や脊髄に入り、
神経を損傷する病気です。
感染後、2週間~1か月後に症状があらわれます。
そして症状は神経が損傷された部分によって異なります。

主な症状として・・・

・突然の腰部や後肢の麻痺
・歩様のふらつき
・起立困難
・頭が片方に傾く(斜頸)
・顔面神経麻痺により涎を垂らす、ごはんが食べられなくなる
・前足の麻痺で起立できない

などがあります。

腰麻痺は山羊さんにとって重要な病気の一つなので改めて
「山羊の診療note」でお話ししますね。

今回の治療は・・・
・イベルメクチン注射

腰麻痺の治療のため、駆虫剤のイベルメクチンの投与をおこないました。
これは症状が出ているため3日間続けます。

・抗生物質の投与

乳房に熱感・硬結があり産前の乳房炎の可能性も考えられたので
抗生物質の注射をしました。

・ブドウ糖静脈注射
食欲はあるというもののいつもより量が少ないので食欲刺激のため
ブドウ糖の投与を行いました。

最後に、
オーナーさんに、立てないみやちゃんがごはんを食べやすいように、
お顔の前にごはんを置いてあげることや体の下に乾草などを敷いて、
褥瘡ができないようにしてもらうことをお伝えし初日の診療は終わりました。

続く・・・

同じ景色、違う想い

診療の途中…

突然現れた

お花畑

そばのお花が満開でした

お花畑って夢のよう

揺れるお花を見ていたら

昔読んだ

絵本を思い出した

小さな白いお花畑で

ひとりでぽつんと

空を見ていた

迷子の子羊

同じ景色をみても

感じることは

みんな違う

ひとりひとりの

違う世界

同じ景色と違う想い

あなたにはどんな風に

みえますか?

違うからこそ

その想いを

映してみたい

でもね

わたしは信じている

その違いを超えた

ずっとずっと

奥に

普遍的な世界があって

そこでまた出会える人がいる

ことを。

山羊の人工授精チャレンジ ~精液の性状~

私の目標は凍結精液での現場でできる人工授精です。
しかし、まずは受胎率の高い液状精液での人工授精も考えはじめたので、
山羊の精液について調べてみました。
(液状精液での受胎率60~70%、凍結液精液での受胎率20~30%)

液状精液は、雄山羊から精液採取した後、はじめに精液が正常か検査をします。
そして液状保存用希釈液で薄めて、2時間程度かけて4~5℃に温度を下げます。
その後、遮光して冷蔵庫で保存して、人工授精に利用します。

1週間保存は可能ですが、3日間以内に使用すると良好な受胎率が期待できるとのことです。
実際、私は長野支場に研修に行ったときに、2頭の雄の精液を、
3日目と5日目に顕微鏡で見せてもらいました。
3日目は2つとも精子の活力が良好でしたが、
5日目は1つは良好、もう一つは活力がかなり落ちていて、
人工授精では使用できない状態でした。

精液の検査は…

*肉眼的検査

・精液量 1ml (0.5~1.5ml)
・色   白色~クリーム色
・におい 無臭
・PH   6.8(6.4~7.1)
・雲霧状態 +++
・粘稠度 濃厚で粘稠
・活力概観 渦流
・比重 1.032~1.047 (平均 1.039)

*顕微鏡検査

・活力、生存率 90+++,90%以上
・精子数 20億/ml(11~40億/ml)
・奇形率 10%以内

*不良精液

・無精子のもの
・血液(精液がピンク)や尿、膿の混入
・精子の生存率、活力が極端に悪いもの
(新鮮精液で生存率が50%以下のもの。活力++以上のものが50%以下のもの)
・奇形率が極端に高いもの(山羊の平均奇形率は22%)
・PHが著しく酸性またはアルカリ性のもの

そして、
山羊さんはは家畜の中で精液量が最も少なく(平均1ml)
逆に最も精子濃度が濃く、精液量の約1/3を精子が占めています。

山羊の診療Diary 症例11 山羊の跛行

*山羊の診療Diary  症例11 山羊の跛行

今回の症例は・・・

ゆうきさんのお家の山羊さんたちに夕方ごはんをあげにいくと、
その中の1頭の山羊さん、ゆきちゃんが右後ろ足を痛そうにしていることに気がつきました。
昨日までは元気にしていたのにどうしたのでしょう。
ゆきちゃんの様子をみていると食欲と元気はあります。

それではさっそく診察をはじめましょう。

まずは視診。歩く姿を観察してみます。

すると、ゆきちゃんは右後ろ脚をあげて歩いています。

足を挙上(上げる)する病気は

・骨折、捻挫
・背骨、股関節、膝、蹄などの異常
・神経や筋の損傷
・靱帯と腱の損傷
・蹄の間に棘が刺さる

などがあります。

次に触診をしていたい部分を確定します。
触診時気をつけるところは

「痛くないところから触る」です。

なぜかというと、
痛いところから触ると、痛みで動物が嫌がったりびっくりして
その後、どこを触っても痛がる反応や嫌がる反応をするようになり、
本当に痛いところがどこかわからなくなってしまうからです。

ゆきちゃんの肢を触診してみると、
足根骨(踵)の部分が腫れて痛みがあることがわかりました。

さらにその部位は熱感がありなにか液体が入っているような感触がありました。
そして、腫れている部分の皮膚を見るとごっそり毛が抜けていました。

また、腫れている部分の液体が何か確認するために
針を刺しました。(穿刺検査)

吸引された液体はさらさらした薄いピンク色の漿液でした。
もし、膿が出てきた場合は、細菌感染からの化膿性関節炎が疑われます。

もしかしたら、ゆきちゃんはどこかに足を挟んでしまったのかもしれません。
そこから足を外そうとしたときに挟まっていた毛がごっそり抜けてしまった可能性がありました。

以上のことから今回ゆきちゃんの治療は・・・

今後の感染を防ぎ痛みや腫れを取り除くために、
抗生物質と抗炎症剤の注射をしました。

そして、患部には鎮痛・消炎効果のあるカンメルブルーを塗布しました。
腫れが引くまで1日2回肢にスプレーを続けてもらうことにしましました。

このスプレーは名前の通り青色なので
ちゃんとお薬がついているのかわかりやすいです。

次の日はまだ足を引きずり腫れがありましたが
2日後には元気なりました。
そして、山羊さんは隙間などに足を挟んでしまうことが多いので
この後、ゆきちゃんの小屋に危ない場所がないか確認しました。
山羊さんが隙間に足を挟むとひどいときには骨折などの事故にもつながりますので、
山羊小屋の隙間など山羊さんにとって危ない場所がないか気をつけてあげてくださいね!

山羊の診療note5 ~繁殖季節について~

やぎの診療note5 ~繁殖季節について~

わたしたち人間は、毎月誰かのお誕生日がありますよね!
一年中、赤ちゃんが誕生しています。

さて山羊さんたちはどうでしょう?

山羊さんの赤ちゃんをよく見る季節があるように感じませんか?

春になると子山羊さんが生まれましたというお話を聞きませんか?

そうなんです。山羊さんは赤ちゃんを作れる季節と作れない季節があるのです。

一般に雌山羊さんの多くは秋になると(日の長さが短くなる)赤ちゃんを作る繁殖季節を迎えます。

しかし、全部の山羊さんが繁殖季節を持っているわけではありません。

品種や地域によって繁殖季節のあるもの(季節繁殖)と一年中、発情をを示すもの(周年繁殖)があります。

*品種で考えると・・・

ザーネン種は季節繁殖(9月~1月)で、
シバ山羊は周年繁殖です。

*地域で考えると・・・

高緯度の地域 季節繁殖
低緯度の地域 周年繁殖

となります。

なぜ緯度が関係するのでしょう?

山羊さんは昼の明るい時間が短くなる(短日性)と発情を開始します。

これを山羊さんの体のしくみから見てみると・・・

日が短くなり、夜が長くなると山羊さんの目の網膜が日長の減少を感知します。
すると夜の暗いときに出る「メラトニン」というホルモンが増えます。
このメラトニンがさらに発情に関連するホルモンの分泌を促して発情シーズンが始まっていきます。

高緯度の地域は日長の変化が大きいため、このようなしくみで季節繁殖を示しますが
低緯度の地域は日長の変化が小さいためはっきりとした繁殖季節を持たず周年繁殖を示す傾向になります。

面白いことに、季節繁殖型の品種の山羊さんを緯度の低い地域で飼育すると日長の変動が少なくなるため、
周年繁殖の形態になり、反対に周年繁殖の山羊さんを日長の変動が大きい高緯度の地域で飼育すると季節繁殖の形態になるそうです。

また、東南アジア等の雨期・乾期がはっきりしている地域で、粗飼料のみで飼育されると、
草が豊富な雨期に発情がくることがわかっています。

私の住んでる地域の山羊さんははザーネン種がもとの雑種が多いので季節繁殖を示す山羊が多いですが、地域の特性(緯度が低い)や雑種の品種の混ざり具合によって、
周年繁殖を示す山羊さんもいます。

このように、雌山羊さんのからだは日の長さや季節を感じて、
発情に関連するホルモンが分泌され、赤ちゃんを作る季節が決まっていきます。

一方、雄山羊さんはというと・・・

季節繁殖型の雄山羊さんも1年中交尾をすることが可能です。
しかし雌山羊さんの繁殖季節の方が性欲が高まり射精回数も増加、精子の活動能も高まります。

確かに、私が繁殖季節の11月に長野支場に伺ったとき、
ザーネンの雄山羊軍団は雌山羊さんたちを見るとふごふごいって大興奮していました。
しかし、3月に伺ったときはすっかりおとなしく、ぼーっとしていました。

それでもやっぱり、お隣のおんなのこたちが気になる雄山羊さん。

雌山羊さんたち。

なんだか雄ってシンプルですね。(ひとりごとです。。。)

(写真 家畜改良センター茨城牧場長野支場にて撮影)