山羊の診療Diary症例35 中手骨の骨折②
今回のお話は、前回の続きになります。
左前足の中手骨を骨折してしまったおおちゃん。
副木とテープで仮に固定をし、次の日にギブスで固定することになりました。
まずはじめに、昨日仮で固定した副木とテープを外しました。
確認すすると、やはり中手骨が折れて、ガタガタしています。
はじめに「オルテックス」というギブス用包帯を巻きます。
これは、ふわふわした綿のようなもので、
ポリエステルとレーヨンの混紡で、肌触り・吸湿性に優れていてクッションの役目をします。
また、手で簡単に切れるので使いやすく、色が青いのでギブスをとる際に目印になります。
足先まで巻いたら、次に「スコッチキャスト」を巻いてギブス固定をします。
これは水で硬化させるキャスティングテープです。
素材はガラス繊維にポリウレタン樹脂を含浸させたもので、水に浸すと固まります。
石膏ギブスのような固定ができます。
ベタベタと接着するので必ず手袋をつけて行います。
素手では触らないようにしてくださいね。
そして、袋から出すと、どんどん固まってきてしまうので時間との勝負。
しっかり巻いた後は、お水をつけるとさらに固くします。
無事にギブス固定ができました。
しっかり固まっているので、足をついて歩けるようでした。
そして、3週間後・・・
ギブスを外しました。
外して骨折部位を確認するとしっかりとくっついていました。
立たせてみると、足を少し上げていましたが、このままリハビリもかねて様子を見ることになりました。
その後、飼い主さんからご連絡があり、徐々に足も地面について元気にしているというお話でした。
さらに1か月後・・・
診療の途中でおおちゃんのおうちのそばを通りかかったので、
「おおちゃーん!」
と声をかけると・・・
こちらに元気に歩いてきてくれました。
おっ!足も地面につけるようになっているね!
良かった、良かった。
これで広い放牧場で元気に遊べるね。