どうぶつの本と絵本<やぎ> 「やぎのめーどん」

今回ご紹介する絵本は「やぎのめーどん」です。

やぎのめーどんと小さな女の子が山で過ごす1日を描いた本です。

「おはよう めーどん めーめーどん
やまにいこうよめーめーどん」

女の子の楽しい気持ちをのせて文章がリズムカルにつづられています。

太陽や風を感じたり、一緒に草を食べてみたり、しあわせをそっと仲間にわけてあげたり・・・

こんな風に気持ちをはずませて歌うように暮らす1日をやぎと一緒に過ごしてみたいな。

私の住む島ではこのような光景やヤギとの暮らしが昔はもっと日常に見られたのかもしれません。
なぜなら、牛ややぎの診療で伺うとおじいやおばあが、
「昔はヤギがいてね・・・」
と楽しそうにお話してくれることがあるのです。昔は一緒にやぎと山へ行ったのかな。
今度、お話をきいてみよう!

そして、
絵本の中の絵は迫力ある絵なのですが、
私は本を開いたときに表紙の裏にある
落書きみたいな絵がとても好きです。
きっとこの主人公の女の子のお絵かきの絵なのかな。
やぎと女の子がダンスしています。
小さい頃はこんな風に、気持ちや夢を絵にのせて描けていたのかもしれません。
それが私の心を懐かしい気持ちのさせるのでしょうか。

どうぶつとの日々の暮らしの「幸せのカケラ」がちりばめられた絵本です。

「やぎのめーどん」
たかくあけみ さく
福音館書店

山羊の人工授精チャレンジ ~膣内クリーム法を現場でやってみよう! 結果~ 

山羊の人工授精チャレンジ ~膣内クリーム法を現場でやってみよう! 結果~

前回の続きです。

前回ご紹介した手作りのスポンジとホルモン入りのクリームをシリンジを使って挿入しました。


そして、論文通りに11日目にPMSGの注射を打ち12日目にスポンジを抜去しました。
スポンジが抜けないか心配でしたが、みんなしっかり入っていました。
次回改善したいなと思った点は、糸がスポンジにつながっている糸が透明だったため、
毎日抜けていなかったかチェックする際、とても見づらかったことです。
次回は色をつけておしりを確認したらすぐわかるようにしたいなと思いました。
12日目のスポンジを抜くときに中に残らないように、ジェルを塗布しました。
スポンジを抜いた日に雄山羊を一緒にしました。
発情兆候は抜いて3日目に一番よくわかりました。
5日間一緒にして、40日目にエコーで妊娠鑑定を行いました。

7月に発情同期化を行ったのは6頭です。
1.らぶ
2.かたちゃん
3.キキ
4.くにちゃん
5.こゆき
6.パンダ

結果は・・・
妊娠したのは1頭、パンダだけでした。
発情兆候はみんなきれいに見えていたのに、残念。
反省点として、この時の雄山羊のだいわくんがあまりやる気がでない感じで
女の子が近づいて行っても、のんびりしていました。
これは、だいわくんが悪いわけでなく、雄山羊は1年中発情することはできますが、
やはり繁殖シーズンの方がやる気も元気もあるから仕方のないことです。
そこで、次は別の雄山羊に変えて、さらに2頭一緒にしてみることにしました。

8月は前回妊娠しなかった5頭の発情同期化を行いました。
1.らぶ
2.かたちゃん
3.キキ
4.くにちゃん
5.こゆき

結果は・・・
今度は、かたちゃん、キキ、こゆきの3頭が妊娠しました!!

2クールで6頭中4頭が妊娠することができました。
クリーム法での発情同期化は現場でも発情兆候もわかりやす上手くいきました。

今後、2つのことを引き続きチャレンジしていきたいと思います。
1.妊娠していない2頭はこのクリーム法に合わせて、人工授精を組み合わせて
妊娠を目指す。

2.来年度は分娩後、発情同期化を早めにして2年3産を目指す。

そして、
はじめに妊娠したパンダがもうすぐ分娩です。


予定日はクリスマスです。
お腹がだいぶ大きくなりました。
元気な赤ちゃんを産んでね!!

病気じゃない病気について

病気じゃない病気

ヤギも牛も、飼う上で大切なことがあります。
動物の体で見落としがちなこと、間違えやすいことなどをお話しています。

産業動物獣医師の仕事内容とキャリア

産業動物獣医師の仕事内容とキャリアについて

一般の方向けに、

産業動物獣医師ってどんな仕事があるのか?というお話です。

約18分の対談です。お時間ある時にどうぞ。

山羊の人工授精チャレンジ ~膣内クリーム法を現場でやってみよう! 道具編〜

今回は、今年の夏に試してみた、発情同期化のお話です。

今まで、人工授精チャレンジでは、ホルモン剤の注射のみで定時人工授精ができないか試していました。しかし、発情は明瞭にわかるものの妊娠に結びつかず、ホルモンの調整などまだしばらく実用化するのに時間がかかりそうでした。

そこでまずはすでに確立されている「膣内クリーム法」での同期化を現場で活用できるかやってみることにしました。

ヒツジの発情同期化の方法の論文を参考にして行いました。
参考文献はこちらです。

「めん羊の発情誘起 ~膣内クリーム法」河野 博英 著

膣内クリーム法とは、現在牛の繁殖治療で行われているCIDERと原理は一緒です。
CIDERはシリコン製器具の中に黄体ホルモンが含まれています。
黄体ホルモンを膣の中に一定期間挿入しておくと、人工黄体として機能します。
これを除去すると、いくつかのホルモンが作用して、卵胞が発育して発情がおきます。
海外では、ヤギ用のCIDERが販売されていますが、日本では入手することができません。

膣内クリーム法は手作りでこのCIDERを作るような感じです。
クリームの中に黄体ホルモンを練りこみ、このクリームとスポンジを膣内に入れて、一定期間挿入した後にスポンジを抜きます。

今回は、使った器具の紹介をします。

1.アプリケーター
クリームとスポンジを膣に挿入する道具です。
注射のシリンジを使用しました。

2.スポンジ
クリームを膣内にとどめておくものです。

食器用のスポンジの固い部分をはがして使用しました。
スポンジの真ん中にモノフィラメントの糸を巻き付けて、膣から引き抜けるようにしました。

ヤギさんの大きさに合わせていろいろ作ってみました!

3.膣内クリーム
抗菌剤入りのクリームに。黄体ホルモンをすり潰し練りこみました。

完成してクリームを前に入れるだけのものはこちらです。

次回は、実際にヤギさんたちに使用してみたお話と結果についてです!!

産業動物獣医師のやりがいと大変さ、つらさ

産業動物獣医師は、どんな仕事をしているのか。

獣医師になりたい人が知っていなければならない

獣医と言っても、「ヒト」を見ないとダメなんです。

人の気持ちをわかる事が大切なんですよ。

動物の知識や技術は道具です。

どれだけひとを喜ばせることができるのか、どれだけひとを幸せにできるのか。

愛情の半分は動物に。半分は人間にも。

今回もwebマーケティングスペシャリストの中田さんとの対談です。

ついつい28分も喋ってしまいました。

web業界と獣医師には意外な共通点がありました。

お時間のある時にどうぞ。

どうぶつの本と絵本<やぎ> 「やぎのグッドウィン」

これから、時々どうぶつの本や絵本をご紹介したいと思います。
やっぱり、はじめはやぎさんの絵本。

今回ご紹介する本は「やぎのグッドウィン」です。

どんなお話かというと・・・

のうふのマックダッフさんに可愛がられているやぎのグッドウィン。
グッドウィンには秘密があって、
ごみばこのものをくちゃくちゃかむのが大好きなのです。
これが思わぬ騒動を引き起こす・・・というお話です。

獣医としては、
「ごみをくちゃくちゃするのが大好きなやぎ」なんてとてもおそろしい!!
のどやお腹につまらせる・・・とか
中毒になってしまうのではないかなどなどこわーい想像がふくらむところですが、
もちろんそんなことはこの絵本の中では起こりません。
(実際はヤギさんのごみ箱や餌箱のいたずらには気を付けてくださいね!!)

やぎのグッドウィンは物語の始めから終わりまで、
素直に自分の気持ちで動いて、ごきげんに暮らしています。
興味がある、やってみたい、こんなの嫌だ!
いろいろな気持ちをそのままに、もちろん、周りの目なんて気にしないで。

それとは対照的に絵本の中に出てくる人たちは
時に大切なものや価値を自分の気持ちではなく、
周りの評価や基準で決めてしまっているように感じました。

そればかりでなく、
あなたのため、あなたを大切に思っているからと
「あなた」という言葉を免罪符に、
相手を縛り付けてしまったり、
自分の欲求を叶えようとしたり・・・

その結果、大切なものを大切にするつもりがなくしてしまったり、
自分の気持ちと離れたことをやってしまったり…。
でもまたそこに気が付いて、もう一度やりなおしたり、その相手の気持ちを感じて感動するのも人間なんですね。人間はごちゃまぜで時にめんどくさい。

グッドウィンは物語を通していつも変わらず自分の思いに忠実に生き生きとした表情をしています。
ほんとうの気持ちとズレなければこんな風にいられるのかな。
たとえどんなことがおこっても。

「ただの出来事」を「騒動」にするのはいつも人間なのかもしれません。

その他にも、

やぎとの暮らしの中で、やぎってこんなことするよね!とクスッと思わず笑ってしまったり、

だれかに可愛がられていても、「それでも」という言葉に繋がる「ひとりぼっち」に思いをはせてみたり、

仲良くなる、繋がる瞬間だったり、

シンプルな線に色彩がのった絵も素敵で
読み返す度に、
その時々に心に触れる言葉やシーンが見つかり、
また、自分自身にも問いを立ててくれる
何度でも読み返したくなる絵本です。

「やぎのグッドウィン」
ドン・フリーマン さく
こみやま ゆう やく
福音館書店

ヤギはなぜ登る?

ヤギはなぜ登る?をキーワードに、ヤギの食性、産業利用などについてお話します。

当ブログの立ち上げから管理をお願いしている、webデザイナー、マーケティングスペシャリストの中田さんとの対談です。

ラジオ形式でお送りします。

ヤギはなぜ登る?の対談

9分くらいのお話なので、お時間のある時にお楽しみください。

あとで調べたところ、カバは複胃だけれど反芻はしないそうです。またヤギは山岳地帯を好んで生息する種が多いそうですよ。

 

中田さんのチャンネルはこちら→

webセキュリティやわらか超入門 by 魔法使いのWebマーケティング【まほウェブradio】 • A podcast on Anchor https://anchor.fm/marketing-wizard/episodes/web-eld7hl

山羊の診療Diary症例35 中手骨の骨折②

山羊の診療Diary症例35 中手骨の骨折②

今回のお話は、前回の続きになります。

左前足の中手骨を骨折してしまったおおちゃん。
副木とテープで仮に固定をし、次の日にギブスで固定することになりました。

まずはじめに、昨日仮で固定した副木とテープを外しました。

確認すすると、やはり中手骨が折れて、ガタガタしています。

はじめに「オルテックス」というギブス用包帯を巻きます。
これは、ふわふわした綿のようなもので、
ポリエステルとレーヨンの混紡で、肌触り・吸湿性に優れていてクッションの役目をします。
また、手で簡単に切れるので使いやすく、色が青いのでギブスをとる際に目印になります。

足先まで巻いたら、次に「スコッチキャスト」を巻いてギブス固定をします。
これは水で硬化させるキャスティングテープです。
素材はガラス繊維にポリウレタン樹脂を含浸させたもので、水に浸すと固まります。
石膏ギブスのような固定ができます。

ベタベタと接着するので必ず手袋をつけて行います。
素手では触らないようにしてくださいね。
そして、袋から出すと、どんどん固まってきてしまうので時間との勝負。
しっかり巻いた後は、お水をつけるとさらに固くします。

無事にギブス固定ができました。
しっかり固まっているので、足をついて歩けるようでした。

そして、3週間後・・・

ギブスを外しました。

外して骨折部位を確認するとしっかりとくっついていました。

立たせてみると、足を少し上げていましたが、このままリハビリもかねて様子を見ることになりました。

その後、飼い主さんからご連絡があり、徐々に足も地面について元気にしているというお話でした。

さらに1か月後・・・

診療の途中でおおちゃんのおうちのそばを通りかかったので、

「おおちゃーん!」
と声をかけると・・・

こちらに元気に歩いてきてくれました。


おっ!足も地面につけるようになっているね!
良かった、良かった。
これで広い放牧場で元気に遊べるね。

山羊の診療Diary症例35  中手骨の骨折①

山羊の診療Diary症例35 中手骨の骨折①

今回のお話は、・・・

「前足を上にあげてびっこひいているので診療してほしい。」

というご連絡が来ました。

早速、ヤギさんたちがいる放牧場に行ってみると、

1頭だけゆっくり前肢をあげて最後にそばに来たヤギさんがいました。
近くに来てくれたおおちゃん。左の前足を上にあげています。

飼い主さんにお話を伺うと
女の子のヤギのおおちゃんは、今朝、放牧場のフェンスにに足が挟まっていたそうです。
すぐに、おおちゃんの足を外して助けてあげたそうですが、その時から左の足をあげて歩いているという事でした。
食欲はあり、声をかけるといつも通り来るという事でした。

この放牧場は、草原の中に、大きなガジュマルの木があり、琉球石灰岩で作った岩山もあります。
岩山はヤギさんたちの遊び場になっていて、
大きなガジュマルは木陰を作り、みんなの休憩所になっていました。
近くをよく診療で通りかかるので、いつもヤギさんたちが気持ちよさそうに暮らしているなと思ってみていました。

ヤギさんたちが岩山に昇っています。

おおちゃんを飼い主さんにおさえてもらって、左前足を触診してみると
触った瞬間「折れている!」ということがはっきりわかりました。

肢をよく見ても傷もななく骨も飛び出したりという事はありませんでした
場所は、中手骨で触ると折れた骨がこすれるざらざらする感触が伝わってきます。
開放性の骨折ではなかったので、ギブスで固定して治療することになりました。

しかし、この時、診療車にギブスなどが載ってなかったので、
今日は応急処置の固定をすることになりました。

はじめに足をまげて固定してみました。
これは、犬の前肢の骨折のときの包帯法「ベルポースリング法」という方法です。
牛の上腕骨折の治療で使用している例もあり、ヤギの治療でも有用なのではと考えたからです。
これなら、足を地面につくことがなく、骨折した部分に負重がかからずにすみます。

しかし、固定はうまくできたものの今回は中手骨の骨折だった為、関節を曲げたままにしておくよりも伸ばして固定したほうが良いのではと考え直し、全部外してやり直すことにしました。

足を伸ばして、段ボールで副木を作って布テープで固定しました。

この布テープは、ホームセンターで売っているものですが診療でよく使います。
水や汚れに強くて、しっかりくっつくのにはがすときはきれいに剥がれます。
(牛の臍ヘルニアのときおなかに巻いたり、関節炎の時にも足に巻いてりして使っています)

副木とテープで固定が終わると、足先を下について立っていました。
あまり今は、この足に負重をかけて欲しくないのですが、
治療が終わると、岩山のみんなのところに一生懸命登っていきました。

感染がおこらないように抗生物質のお注射を打って、明日ギブスを巻きなおすことになりました。

次回は、ギブスでの固定のお話です。

つづく。