山羊の診療note12-3 胎位の確認の仕方

前回ご紹介した「ヤギの友43号」に寄稿した「ヤギのお産」を改めてこちらのブログでも図解などを入れてお話したいと思います。
今回は、胎位の確認の仕方を復習してみましょう。

2次破水からお産が進まない時はまず胎位を確認する必要があります。
陰部から手を挿入して確認します。

*前肢?後肢? 胎位の確認の仕方
前肢と後肢の区別の仕方は肢端から2番目の関節を触って確認します。
前肢の時は膝関節(人間の手首の関節にあたる)が触れます。

後肢のときは飛節が触れます。


蹄の向きだけで判断すると診断を誤るので、必ずこの関節を確認するようにしてください。
下胎向の場合(上向きで万歳している状態)前肢を後肢と間違えてしまう事があります。
前肢が2本確認出来たら、頭が前に向いているかを確認します。横に曲がっているときはきちんと前を向くよう整復します。
正常な胎位であれば、産道を通れるように頭に手を添えて、ゆっくりいきみに合わせて肢を引きます。後肢2本の場合は肢のみを引いて大丈夫です。

次回は正常な胎位についてお話します。
実は、今回の中に答えがあります。
正常な胎位は2つありますよー。

山羊の診療note12-2 ヤギの正常なお産

前回ご紹介した「ヤギの友43号」に寄稿した「ヤギのお産」を改めてこちらのブログでも図解などを入れてお話したいと思います。今回は、正常なヤギのお産を復習してみましょう。

ヤギの正常なお産の進み方

①陣痛開始

・ごはんを食べなくなる

・うろうろする

・地面をひっかく動作  など

②1次破水

多量の水(羊水:おしっこ3回分くらい)がでます

③足胞(水風船のようなもの)がでる

風船の中に蹄が2本見えます

④2次破水

粘性のある液体がでます

重要!!ここからお産がスムーズに進まないときは注意・獣医さんに連絡

⑤肢2本と鼻が出る

⑥頭が出る

⑦からだが出る

⑧赤ちゃんヤギさん誕生!!

お産が終わったら・・・
お母さんヤギさんにはおつかれさまのお味噌汁を(ミネラルや水分の補給になります)
赤ちゃんヤギさんには初乳をしっかり飲ませて(免疫をつけます)くださいね。
飼い主さんはお祝いのビールかな!!

「ヤギの友第43号」に寄稿し掲載されました

全国山羊ネットワークで年2回発行されている会報「ヤギの友」の第43号に寄稿し掲載されました。

今回私たちは、第42号に引き続き
「山羊の病気と削蹄」について寄稿しました。

削蹄は、定年退職後からヤギを飼育されているご夫妻のヤギのはなこちゃんの削蹄事例をご紹介しました。

病気については、
・胎盤停滞
・ヤギの難産4例
についてまとめました。

難産介助を理解するために、はじめにヤギの正常なお産についてを図解しました。
このブログでも「ヤギの診療note12」でお産についてまとめてありますが、
今後より詳しく胎位など図解してお伝えしたいと思っています。

4月になりヤギの分娩シーズンも落ち着いて、子ヤギさんたちが元気に走り回っているのではないかと思います。無事、赤ちゃんヤギさんが産まれるとホッとしますよね。
今まで、難産の経験がない方も、いざというときにあわてないために、ヤギのお産の基本、難産介助を知っておいてくださいね!

「ヤギの友」は全国ヤギネットワークの会報です。
ご興味がある方は、ホームページはこちらです↓

https://japangoat.web.fc2.com/

ヤギの診療Diary 症例37 鮫口

前回、ご紹介したむちむちの子ヤギのがんくん。

グレーがかったとてもきれいな毛色の子ヤギさんです。

産まれた時から、お口が不正咬合でした。

このように、下の顎が短い不正咬合を鮫口。

反対に、上の顎が短いのを逆鮫口といいます。

がんくんは指1本分くらい下顎が短くなっていました。

残念ながら、不正咬合は治療法がありません。

産まれてからすぐ、おっぱいを飲み始めましたが、
一緒に生まれた女の子のヤギのかんなちゃんより、
身体の成長が若干遅い感じがしました。

治療法がないので、まずはヤギの気持ちになって考えてみました。
そこで自分の下顎をひっこめてみたところ、やはりおっぱいが飲みにくいだろうなと感じ、
ゆうきさんにお願いして、補助的に人工哺乳をしてもらうことになりました。

はじめ、人の赤ちゃん用の哺乳瓶であげてみましたが、上手に飲めず、注射器のシリンジを使いお口のわきからあげるとごくごく飲んでくれました。

今後、がんくんの成長の様子を見ながらえさや草が食べにくくないかひとつづつ確認して、
食べにくそうなときは、草を短く切るなど工夫していきたいと思います。

がんくんの名前の由来は、がんばって生まれてきたからのがんばるのがんくんです。

一緒にがんばって生きていこうね、がんくん!!

子ヤギが産まれました!! むちむち編

子ヤギが産まれました! むちむち編

沖縄県の本島からやってきたやぎのむちむち。
優良ヤギの認定を受けているヤギさんです。

来た時から、立派な体格で、むちむちしていたのでそのまま、むちむちという名前になりました。

妊娠鑑定をしたところ来た時にすでに妊娠していたので、赤ちゃんが生まれるのを楽しみに待っていました。

そして、ついに男の子と女の子の赤ちゃんヤギが産まれました。

むちむちは、日中に赤ちゃんを産みました。
たまたま、牧場に遊びに来ていた、ゆうきさんの妹さんと子供たちが見守ってくれました。

夕方、診療を終えて牧場に会いにいくと、
元気なむちむちと赤ちゃんヤギさんたちがいました。

そして、牛のごはんの箱に、子供たちが名前と由来を書いてくれてあるのを発見!!

名前は、男の子が生まれてくるのをがんばったから「がんくん」女の子は彼方の力をつけた「かんなちゃん」です。

素敵な名前をつけてもらってよかったね!!

すくすく大きくなりますように。

よし坊元気です!

12月にパンダちゃんが産んだ、子ヤギのよし坊の近況報告です。

よし坊、とっても元気です!!

おっぱいをぐんぐん飲み、草もヤギのえさも食べるようになりました。

ごはんまだー?

後ろ姿

日中は、放牧場を元気に走り回っているやんちゃなよし坊。
お母さんのパンダちゃんが心配しながらついてまわっています。
たてがみのような毛がふさふさしているのがよし坊のチャームポイント。

よし坊、このまま元気におっきくなあれ!!

ウィンク☆

山羊の診療Diary症例36 膣脱

山羊の診療Diary症例36 膣脱

今回のお話は・・・

「分娩が始まっているみたいだけど、赤ちゃんではなくて子宮がでてきているみたいにみえる。
ずっと、いきんで苦しそうだから診てほしい」

という連絡がありました。

すぐに、お電話をいただいたヤギ舎に向かいました。

すると、1頭のヤギさんが苦しそうに座り込んでいました。

ヤギさんを立たせて出ているものをしっかり確認しました。

立たせて、横から見たところ

後ろからみたところ

陰部から出ているのは、子宮でなくて膣でした。
そして子宮外口部がはっきり見えますが、ここが開いていないのでまだ分娩もはじまっていませんでした。

これは「膣脱」です。

膣脱とは・・・

膣の一部、または全部が反転して陰部から出てしまった状態をいいます。
出てしまった膣はヤギさんが立つと元に戻ることもあります。
膣が戻らずに出っぱなしになってしまうと、膣が汚れてしまい細菌感染を起こしたり、
またおしっこの通り道を圧迫しておしっこを出せなくなり危険な状態になります。
自然に戻らない膣脱をほっとくと、むくんでしまい中に戻すのが難しくなるので、
見つけた時には、早めに獣医さんに相談してくださいね。

膣脱は、分娩前と分娩後、どちらにも起こります。
分娩前は、もうすぐ分娩という妊娠後期に子宮が大きくなりこの圧迫で膣が出てしまいます。
産後は、難産の後に無理な力がかかった場合に起こりやすくなります。

膣脱は、太りすぎたり、運動不足、高齢などで赤ちゃんの通り道の筋肉が
衰えてしまうことが要因になるので、
妊娠中も運動できる環境を作ってあげると予防になります。

膣脱の治療です。

はじめに、ぬるま湯で出ていた膣の部分を洗います。

そして、ローションをつけて少しづつ、膣を陰部の中に戻していきます。

戻したときに、大量のおしっこが出ました。
出ていた膣が尿道を圧迫しして、おしっこを出すことができなくなっていました。
おしっこができなくて、これはとても苦しかったと思います。

膣を正常な位置に戻せましたが、膣脱が一度、起こるとすぐにまた出やすい状態にあるので縫い縮める必要がありました。
はじめに神経ブロックで局所麻酔をしました。肛門の横の窪んでいるところから針を刺して、脊椎からでている神経を麻酔します。

そして、18Gの注射針を利用して、巾着縫合を行いました。

このまま、分娩の始まる日をまって、分娩がはじまったら糸を切ります。
最後に、感染の可能性を考えて抗生物質の注射を打ちました。

縫合が終わって、落ち着くと、このヤギさんはすぐに草をもりもり食べはじめました。

その姿を見て、ほっと一息。
おしっこが出なくて、出そうといきむとますます膣が飛び出すという状態で
だいぶ苦しかったと思います。

このまま、分娩の日まで膣が出ないように飼い主さんにはよく観察していただくことをお願いしました。

元気な赤ちゃんヤギさんが産まれますように!!

子ヤギが産まれました!! パンダちゃん編

子ヤギが産まれました!! パンダちゃん編

以前ヤギの人工授精チャレンジでご紹介した、
発情同期化のクリーム法での発情時に妊娠したパンダちゃん。

12月の終わりに
男の子の赤ちゃんヤギを無事出産しました。

パンダちゃんは身体が小さく、予定日の前にはお腹がぱんぱんになっていました。
その為、自然分娩で産めるか心配しており、予定日が過ぎた場合や、
自分で産めないと判断した場合は、帝王切開を考えていました。

分娩当日、陣痛が始まっているとご連絡をいただき、
かけつけてみると、あしは出ていましたが、とても苦しそうにパンダちゃんがうめいており、分娩が進まない状態になっていました。
手を入れて確認すると、胎位は正常でした。
しかし、頭が子宮の入り口をすでに通っていましたが、最後の陰部のところから自力では出せないようでした。
そこで、お産の介助をすることにしました。
両前足に、ひもをつけてから、いったん押し戻して、手を頭の上に添えて、ひっぱりました。

分娩直後の写真です。パンダちゃんお疲れさまでした。

この子ヤギさんはヤギ牧場のお隣のマンゴー園のオーナーさんのお誕生日に産まれて、
とても喜んでいただいたので、名前はオーナーさんのお名前をいただき「よし坊」になりました。

よし坊は産まれた時、小さなヤギさんでしたが、
とてもやる気があり、おっぱいをぐんぐん飲んで元気に育っています。
ぱんだちゃんもはじめ牧場に来た時、
人がいなくなるとめーめーずっと泣いているさみしがり屋のヤギさんでしたが
すっかり、子育て上手のお母さんになりました。

春になって、パンダちゃんとよし坊が牧場を元気に走っている姿を見るのが今から楽しみです!!

 

 

今までの獣医療とこれからの獣医療

今までの獣医療とこれからの獣医療
機器の進化とともに変わる?というお話。
もうすでに始まっています。

対談はこちら

今回もSEO専門家の中田さんとの対談です。
12分のお話です。
お時間のある時にどうぞ。

どうぶつの本と絵本<やぎ> 「やぎのめーどん」

今回ご紹介する絵本は「やぎのめーどん」です。

やぎのめーどんと小さな女の子が山で過ごす1日を描いた本です。

「おはよう めーどん めーめーどん
やまにいこうよめーめーどん」

女の子の楽しい気持ちをのせて文章がリズムカルにつづられています。

太陽や風を感じたり、一緒に草を食べてみたり、しあわせをそっと仲間にわけてあげたり・・・

こんな風に気持ちをはずませて歌うように暮らす1日をやぎと一緒に過ごしてみたいな。

私の住む島ではこのような光景やヤギとの暮らしが昔はもっと日常に見られたのかもしれません。
なぜなら、牛ややぎの診療で伺うとおじいやおばあが、
「昔はヤギがいてね・・・」
と楽しそうにお話してくれることがあるのです。昔は一緒にやぎと山へ行ったのかな。
今度、お話をきいてみよう!

そして、
絵本の中の絵は迫力ある絵なのですが、
私は本を開いたときに表紙の裏にある
落書きみたいな絵がとても好きです。
きっとこの主人公の女の子のお絵かきの絵なのかな。
やぎと女の子がダンスしています。
小さい頃はこんな風に、気持ちや夢を絵にのせて描けていたのかもしれません。
それが私の心を懐かしい気持ちのさせるのでしょうか。

どうぶつとの日々の暮らしの「幸せのカケラ」がちりばめられた絵本です。

「やぎのめーどん」
たかくあけみ さく
福音館書店