子どもたちと山羊 Animal-assisted education

今日は、保育園の子供達が「体験学習」で牧場に来ました。

元気な子供たちがバスに乗って到着。

ごあいさつが終わったら、

はじめは、山羊さんに近づくところからスタート。

おおきな声を出すと驚いちゃうから、そっと近づいてね。

そばに寄れたら、山羊さんをそっと触ってみよう。
優しくなでて見てね。

さわれたかな?

あったかいね。

ここまでできたら、山羊さんのごはんをとりに行こう!

山羊さんのごはんは草だから、まわりにいっぱいあるよ。
お口の前にそっとあげてみようね。

最後は、やぎさんの心臓の音を聞いてみよう!
心臓のドキドキは生きているから。

まずは自分の心臓のドキドキを聞いてみようね。

ドキドキしてる?

聞こえたー!!

次は山羊さんの胸にそっと聴診器をあててごらん。

ドキドキ聞こえた?

聞こえたー!!

山羊さんも私たちも生きているね。

山羊さんの次はおっきな牛さんに会いに行こう。

牛さんのごはんの乾草もあげてみよう。

みんな自分のペースでゆっくりね。

子牛さんにミルクもあげられたね!

最後は、雄山羊登場。

わー!!がらがらどんだー。

子供たちの歓声。

絵本の中の
おっきな山羊のがらがらどん。

目の前に現れてみんなびっくり。

だいじょうぶ。
そっと近づいてごらん。
おっきな角がさわれるよ。

最後はみんなで記念撮影。
楽しかったねー!!

アニマルセラピーの中でも
飼育動物から動物との触れ合い方や命の大切さを学ぶことを
Animal-assisted education (動物介在教育)
といいます。

難しいことはひとまずおいといて・・・
まずは、
動物の体温やにおいや気配・・・生きものそのものををいっぱい感じて欲しいです。

地域の動物・・・山羊だけでなく牛や馬を通して、
子供たちに動物との触れ合いの場を作っていくののも夢のひとつです。

一つの命や飼い主さんと向き合う仕事も、動物を通じて地域や社会と繋がっていくことも
獣医さんのできること、大切なお仕事と私は感じています。

まだまだ、獣医という仕事には希望がいっぱいあると思うのです。

今シーズン初の子山羊さん誕生。初乳の重要性

ゆうきさんの牧場で、今シーズン初の子山羊さんが生まれました!!

出産したのは、ゆきちゃん。
ゆきちゃんは今年の1月に3つ子を出産しました。
その時は1頭目が頭から出てきてしまったので、
お産の介助をしました。
しかし、今回はお昼間の誰もいないときに女の子を1頭生みました。
無事生まれていてほっとしました。

その元気な女の子の子山羊さんはこちら・・・

こんにちは子山羊ちゃん。
やっぱり、子山羊さんはほんとにかわいい。
「こゆきちゃん」とさっそく名前を付けました。

しばらくこゆきちゃんを観察していみると、
こゆきちゃんはお母さんのおっぱいを元気に飲んでいます。

生まれてすぐのおっぱいは「初乳」と言います。
初乳を飲むことは子山羊さんにとってとても重要なんです。

初乳は子山羊さんに免疫を付けてくれます。
なぜなら、初乳には免疫グロブリンという病気に抵抗するための物質を含んでいるからです。

そして初乳についてひとつ知っておいて欲しいことがあります。
それは、子山羊さんが初乳を吸収できるのは生後24~36時間だけなのです。
そのため、生まれて1~2日はしっかり初乳を飲むことが大切です。

もし、お母さんが亡くなってしまったり、育児放棄などの事情でお母さんの初乳が飲めない場合は、

人工初乳を飲ませるか、おっぱいがたくさん出る山羊さんの初乳を凍結しておいて飲ませるなどしてくださいね。

こゆきちゃんは初乳をしっかり飲んでいて安心しました。
お母さんのゆきちゃんも夕方のごはんをしっかり食べて元気です。
ゆきちゃんの栄養状態も気をつけていきたいと思います。

これから毎日ゆき&こゆきちゃん親子に会えるのが楽しみです!

山羊の診療Diary 症例20 顔にできた膿瘍

*山羊の診療Diary  症例20 顔にできた膿瘍

今日の症例は・・・

夕方、ゆうきさんの山羊牧場にごはんをあげにいくと
けんとくんの頬が腫れているのに気がつきました。

診てみると直径2cm位の腫れがあり
真ん中に穴が開いていました。
全身状態は良く
食欲・元気もあり、熱はありませんでした。

腫れている部分を押してみると膿が出てきたので、
まずは洗浄して、消毒をしました。
そして、抗生物質のお注射をして様子を見ることにしました。

この段階では、膿瘍の可能性が強く疑われました。
膿瘍であれば膿を排出して、消毒した後、数日の抗生物質のお注射で、改善が見られます。

また、膿瘍の原因がコリネバクテリウム属菌の場合、膿瘍から細菌が血流やリンパ系を介して
体内リンパ節や内部臓器に転移すると、乾酪性リンパ節炎を引き起こします。

この病気で亡くなることはまれですが、肺に膿瘍ができると呼吸困難に陥ったり、衰弱するなど
危険な場合があります。
命の危険がない場合でも、体重減少や肺炎、肝炎、繁殖の低下などの症状を呈することがあるので
注意が必要です。

他の山羊さんに感染する可能性もあることから、
治療時に切開して膿を排出するときには膿が飛び散らないようにします。
使った器具はきちんと洗浄をしましょう。
農場を消毒したい場合には石灰が有効です。

もし、状態が変わらない時は、腫瘍などの違う原因が考えられるので、
その場合はバイオプシー検査(細胞を採取して診断する方法)
をして原因を究明していきます。

このように、見た目だけでは皮膚の腫瘤は確定診断ができないので、
治療に対する反応の経過をみて、必要ならば次の検査に進んでいきます。

幸い、けんとくんの頬は膿の排出、消毒と3日間の抗生物質の治療で腫れが引き良くなってきました。
腫れが完全に収まるまで、引き続き経過を観察して行きたいと思います。

その後の経過・・・(2週間後)
だいぶきれいになってきました!!

山羊の人工授精チャレンジ MMNS第1クール②

山羊の人工授精チャレンジ MMNS第1クール ②

今日は山羊Aちゃんの人工授精後30日の妊娠鑑定のご報告と
山羊CちゃんのMMNSスタートのお話しです。

まず、山羊Aちゃんの30日の妊娠鑑定は・・・

残念・・・赤ちゃんを確認することができませんでした。
この後、人工授精後40日にもう一度確認して、妊娠していなかった場合には
MMNS第2クールに入ります。

凍結精液での人工授精の受胎率は20~30%と低めです。
そのため、何度か諦めず繰り返し、チャレンジしていきたいと思います。

そして、山羊CちゃんがMMNS第1クールをスタートしました。

発情同期化MMNSの最終日のお注射と発情確認をしました。

雄山羊に近づけると、寄り添ってしっぽを振る発情行動が見られたので、
人工授精を行いました。(1回目)

また、次の日、山羊Cちゃんを観察してみると、
前日よりはっきりした発情が見られました。
柵越しに雄山羊から離れない様子が見られました。

再び人工授精を行いました。(2回目)

そして、再度夕方、人工授精を行いました。(3回目)

…..

ここで、山羊さんの発情適期について復習しましょう。

*雌の発情持続時間は
40時間

*排卵時期は発情末期
30~40時間ごろ

*卵子の受精能の保有時間
排卵後 8時間

*雌の生殖器内での精子の受精能保有時間
40~50時間

以上のことから、
発情適期は、発情開始20~40時間になります。

そして、ぴったり発情を合わせることは難しいので、
1発情中に10~12時間間隔で2回受精するほうが受胎の確立があがります。

発情行動と人工授精のタイミングをまとめると・・・

夕方に発情がみられた→次の日の朝、1回目の受精。夕方2回目。
朝から発情がみられた→その日の夕方に1回目の受精。次の日の朝に2回目。
昼から発情がみられた→その日の夜に1回目の受精。次の日の昼に2回目。

…..

しかし、実際の現場では、正確にいつから発情が始まったかみることは難しいと思います。
そのため、発情同期化と発情確認をうまく組み合わせて、データーを集めながら、
定時人工授精ができないか研究していきたいと思っています。

今回の山羊Cちゃんの場合は、
1回目の人工授精は早かった可能性があります。
発情行動からいうと、2回目と3回目が適期であったかもしれません。

今は、まずは受胎させるのが一番なので
できることを一つずつ積み上げていこうと思います。

山羊の診療 note8 山羊は水を飲みますか?

山羊の診療note8

「山羊は水を飲みますか?」

「山羊は水をあげなくても大丈夫?」

飼い主さんからよく尋ねられる質問です。

答えは・・・

はい!!

山羊さんはお水のみます。

お水を飲む様子はこちら。

https://vet-present.com/wp-content/uploads/2019/09/img_9836.trim-1.mov

ごくごくとかぺろぺろではなく
山羊さんはこんなふうにすーっと吸い込むように飲みます。

新鮮な生草を食べているときは草に水分が多く含まれているので、
量をたくさん飲まないこともあります。
しかし、画像のように乾草を食べていると、お水をたくさん飲みます。
どちらにしても、いつでも自由にきれいなお水が飲めるようにしてあげてくださいね。

なぜなら、
お水が飲めなくて、体に足りなくなると、食欲が落ちます。
そこから、体調を崩したり、成長を妨げる原因にもなるからです。

そして・・・
山羊さんはすごいんです。
品種や用途によって違いますが、
肉用の山羊さんは羊さんの半分の水で生きることができます。

最近の環境問題の中の一つ、中東など水不足が深刻な地域では、
家畜に使用できる水が限られてきており、
そのため、
山羊さんの水が少なくても生きられる環境適応性についての
研究が注目されているとのことです。

厳しい環境で生きられる山羊さんはこれからの畜産に重要な存在なのかもしれません。

山羊の人工授精チャレンジ MMNS第1クール

山羊の人工授精チャレンジ MMNS第1クール

しばらく時間が空いてしまった、山羊の人工授精チャレンジ。

あきらめていませんよー!!

この間、前回の自然周期の人工授精がうまくいかなかった原因などを一つずつ
解決していました。

そして、あらたに
発情同期化を使った人工授精の研究をはじめました。

院長発案のこのプログラムは「MMNS」と名付けて、先月からスタートしています。

今回の研究に参加してくれる山羊さんは6頭です。

初日は妊娠鑑定をして妊娠していないかを確認しました。
6頭の山羊さんは雄山羊と一緒だった為、すでに妊娠している可能性があったからです。

妊娠鑑定の結果

3頭は妊娠鑑定(+)
1頭は確定できなかったので再鑑定
2頭は妊娠鑑定(-)

妊娠鑑定(-)だった2頭の山羊さん(山羊Aちゃん・山羊Bちゃん)はこの日から
MMNSプログラムの注射をスタートしました。

山羊Aちゃんは順調に第1クールで人工授精をしました。
山羊Bちゃんは再発情が見られたので、再度、MMNSの注射を行い人工授精をしました。

人工授精の際には、凍結精液の精子の状態を確認しました

人工授精の様子

現在、山羊Aちゃんと山羊Bちゃんは妊娠鑑定待ちです。

再鑑定の山羊Cちゃんは妊娠(-)だったため、
これからMMNSの同期化の注射からはじめます。

次回、良い報告ができますように!!

山羊の診療Diary  症例19  眼のふちのけが

*山羊の診療Diary  症例19 眼のふちのけが

今回の症例は・・・

山羊さん同士がけんかしてケガをしているので診察して欲しいという連絡がありました。

現場に行き、オーナーさんにお話しを伺うと、
月齢が近い山羊さん同士を同じケージに入れたところ、けんかをして眼をケガしてしまった
のではないかということでした。

診察してみると、左目の下眼瞼(まぶたの下側)が縦に切れて、めくれ上がっている状態でした。
幸い出血は止まって、眼には今のところ角膜などに傷はありませんでした。

次に飼育環境、一緒にした山羊さんを観察してみました。
ケガをしてしまった山羊さんは無角で、もう一方の山羊さんは角がありました。
確かに、けんかや遊んでいるうちにケガをした可能性もありますが、
飼育環境がワイヤーのケージのため、ワイヤーの端などでケガをした可能性も考えられました。

治療法として、下記の二つの方法をお話しさせていただきました。
①外科治療
麻酔をかけて傷を皮内縫合法という方法で縫う

②内科治療
抗生剤のお注射、内服で傷の感染を防ぐ。
点眼によって眼の乾燥を防ぐ。

オーナーさんと相談した結果、
この山羊さんは性別が雄でも雌でもない間性で、今後、出荷を考えているということで、
内科治療を選択され、出荷までの間、点眼で様子を見ながらケアしていくということになりました。

(間性については後日あらためて記事にしたいと思います)

注意点として傷自体は治っても、
瞬きが以前のようにできない場合、眼の乾燥が起こります。
眼が乾燥するということは、眼の表面の角膜に傷がつきやすくなったり、感染の可能性が増加します。
そのため、傷が回復した後も、経過を見ながら、今後も点眼が必要になる可能性をお話ししました。

また、ワイヤーケージは思わぬところで足をはさんだり、今回のようなケガを引き起こすことがあるので、
むき出しになったワイヤーを直したり、隙間を点検して、今後、ケガが起こらないようにお伝えしました。

院長追記〉〉

今回のように畜産業として飼育している場合、治す事は出来ても、最低限の処置に留まる事があります。

アン先生のように、獣医は動物だけでなく飼い主さんの目的、目標をきちんと受け取って治療方針を決める事が大切です。

間性のため今後繁殖させる事が出来ないという事、傷の状態は全身状態に大きな問題は起こさない事、畜産業なので治療コストを抑えた方がいい事、飼い主さんの気持ち。動物との接し方や飼育している目的は、飼い主さんごとに様々です。

総合的に最善の方法を選択して、さらに再発予防をします。

獣医師は獣医学的な知識や技術が必要なのはもちろんですが、人と接して話を聞く力、飼い主さんのことを理解する力がそれにも増して大切なんです。

山羊の診療Diary 症例18 妊娠鑑定

*山羊の診療Diary  症例18 妊娠鑑定依頼

前回の「山羊の人工授精チャレンジ」の記事でご紹介した、妊娠鑑定の依頼が来ました!!

今回の依頼は4頭。

早速、直腸からエコーを使用して妊娠鑑定をしました。

妊娠している山羊さんのエコーはオーナーさんも一緒に確認していただきました。

心臓の動きを確認するとやっぱりうれしいですね。

今回は、4頭中2頭の山羊さんが妊娠していました。

妊娠していない1頭は出荷されることが決まり、
もう1頭は再度、雄山羊と1か月一緒にしてみることになりました。

今回の妊娠鑑定依頼は畜産として山羊を飼育されている方からの依頼でした。
このように畜産として山羊を飼育している場合、出荷の判断材料になったり、
空胎(妊娠していないこと)の山羊を早めに見つけることによって、
妊娠の機会を時間を空けずに作ることができます。

また、妊娠している山羊さんの場合も、体長から出産予定日を推測することができます。
これは、分娩事故の予防につながります。

これからも、症例を積み重ねて、
より精度の高い妊娠鑑定ができるように工夫していきたいと思いました。

山羊の勉強会 ~山羊の病気と繁殖について~

地域の山羊流通生産組合さんより
山羊の勉強会の講師依頼がありました。

テーマは
「山羊の病気と繁殖について」

第1部では私が

この半年間、このブログでご紹介してきた症例をもとに
山羊の病気についてお話させていただきました。

第2部では院長が
山羊の繁殖についての基本や妊娠鑑定について
お話しさせていただきました。

講演の後には、山羊農家さん達から質問をたくさんいただき、
交流を持つことができました。

獣医師だけでは病気を見つけたり治すことはできません。
予防も含めて、山羊さんのオーナーさん達と一緒に
地域の山羊さんたちを大切にしていけたらと感じました。

木箱の診療セット

今日は、夕方に牛舎に行くととてもうれしいことがありました。

なんと、手作りのお薬など診療の道具を入れる箱をゆうきさんが作ってくれていました。

私は、診療車に乗せる診療セットを入れる箱について、しばらく悩んでいました。

プラスチックのバスケットをいくつか試したり、
100円ショップやホームセンターに行っては、ちょうどよいものがないか探していました。
なかなか、実用的でなおかつ好みのものが見つからず・・・。
緊急時に対応できて、なおかつ自分が心地よく使えるものがあったらいいなと思う日々。

私が探していた箱は、

・あまり箱が深いとお薬が取りにくいから深すぎないもの。
・薬を上から見ると何の薬かわからなくて、探すのに時間がかかるから一目で見えるようなもの。
・車まで薬を取りにいかなくて済むように持ち運びができるもの。
・病院の共用の車は診療の他にセリや荷物の運搬などいろいろな用途にも使用するので、
使う用途、使う人それぞれにアレンジができるように動かせるもの。
・衛生的に牛舎の下に置かずに掛けられるもの。
・個人的に木の素材が好き

しかし、こんな箱はどこにも見つかりませんでした。

すると、
DIYの得意なゆうきさんが、
木箱の診療セットを作ってくれることになったのです。

もともと、
ゆうきさんの人工授精の時に使用している車は、工夫がいっぱいで
見せていただいたときに、
素晴らしいな、私もこんな風にしたいなと思っていました。

物の場所がきちんと決まっていて、
それぞれ手作りでサイズがぴったりに収まるようになっています。

そして、車を見せてもらったときに、聞いたおはなしが
とても心に残っています。

ゆうきさんのお父さんは電気屋さんで、
その工具箱がいつもきちんと整えられているのを見てきたそうです。
自分が仕事に使う道具を整えておくこと、手入れしておくこと。
それは、きっと
お客様に対する誠意でもあり、自分の仕事に対する誇りでもあると思いました。

山羊さん達の草をいつも電気屋さんの車で運んでくれるお父さん。
その道具箱はお父さんの車の助手席にそっと置かれています。

・・・

私も作っていただいた木箱に
さっそくお薬や診療に使う道具を入れてみました。

お薬が一目瞭然。
緊急の時も、すぐにお薬を見つけることができます。
注射器や針もちょうどよく収まりました。

木箱の横には、ゆうきさんオリジナルの
可愛い山羊さんや牛さんの絵があります。


木を焼いて素敵な色合い。
そして、
肩に下げられたり手持ちにもできます。

診療車に置いても、ぴったりでした。

実用的で素敵な箱を作っていただいて感謝感激。
ありがとうございました。

新たな相棒の木箱。
木箱を使い込んで良い風合いになる頃には、
山羊の診療も私もこの地域になじんでいますように。