山羊の診療Diary症例29 子ヤギの下痢(コクシジウム症)

山羊の診療Diary症例29 子ヤギの下痢(コクシジウム症)

今回の症例は・・・
「生後1か月の子ヤギが下痢をしていて元気がない」という連絡が来ました。

子ヤギさんは、1カ月齢の女の子でのどかちゃん。
先週にお母さん山羊さんが突然死してしまい、その後、下痢をしているそうです。
お母さん山羊さんが生きているときは、おっぱいを吸っていたそうですが、亡くなってからは草を食べていて人工哺乳はしていなかったという事でした。

早速、のどかちゃんを診察すると、立ってはいましたが、足がふらつき、目が落ちくぼみ脱水していました。
おしりは下痢で汚れ、のどかちゃんのいた周りには、匂いの強いタール状の水様便がいくつも落ちていました。

草は食べていたという事ですが、おなかが膨らんでいるのに痩せている状態でした。
熱はなく、聴診では異常が見られませんでした。

脱水していて、診療中も何度かタール状の下痢をして元気がなかった為、山羊舎で点滴を行った後、入院することになりました。

まどかちゃんが初めにしていた便はこちらです。

タール状でお魚が腐ったような生臭いにおいの便でした。
糞便検査では、コクシジウムが検出されました。
生臭かったのは、便に血が混ざっていた可能性があります。

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*コクシジウム症とは・・・
コクシジウムという原虫が腸管に寄生して下痢を引き起こす病気です。
コクシジウムが増えるときに腸の粘膜上皮細胞に傷害を与えるので、下痢や血便などの症状を引き起こします。
大人のヤギさんでは感染しても症状が出ることは少ないですが、子ヤギさんが感染すると下痢とそれに伴い脱水が起こり亡くなってしまうこともあります。

治療は、抗コクシジウム剤を注射や飲み薬で投与します。

コクシジウム症の症状は、感染の量に比例するといわれていますので、コクシジウムがお口に入る量が多いほど、症状がより悪化します。

その為予防は、お掃除をしてヤギさんのお口に入るコクシジウムの数を減らすことです。コクシジウムは環境や薬剤に対して抵抗性が強いため完全に除去することは難しいですが、ヤギ舎のお掃除よって、コクシジウムの数を減らすことはできます。

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のどかちゃんにも、抗コクシジウム剤を注射と飲み薬で投与しました。

さらにのどかちゃんの場合、下痢の原因としてごはんの問題もありました。
まだ、おっぱいを飲む時期なのに、母ヤギさんが亡くなってしまって、1週間くらい飲めていない状態です。
草だけでは栄養が足りず、また消化も上手にできていないことが考えられました。

そこで、点滴の後少しお休みをはさんで人工哺乳をしました。
今まで、お母さんのおっぱいしか飲んでいなかったために、哺乳瓶で飲む練習が必要でした。
(このことについては、後日、「おっぱい大作戦ヤギ編」でお伝えしようと思っています)
練習の後、無事に哺乳瓶に慣れることができました。

ミルクの量の目安は、1か月齢では、体重の20%なので(家畜改良センター 飼養管理マニュアルより)
3kg弱ののどかちゃんは600ml必要です。
200mlを1日3回に分けて哺乳しました。

コクシジウムの治療と人工哺乳によって、便はこのように改善していきました。

2日目

3日目

おっぱいも上手に飲めるようになり、便もコロコロうんちに戻ったので無事退院することができました。
オーナーさんにあと1か月は人工哺乳をがんばっていただくことになります。

 

おっぱいを飲むのどかちゃんはとてもかわいくて、
元気になって退院して本当に良かったのですが、
帰った後の入院室をみてさみしい気持ちになったのでした。
診療の合間に顔を見に行こうと思っています。

のどかちゃん、お家のヤギさんたちと仲良く元気にね!

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