独立するつもりだったと言う、一人の運転手
元旦、会合の帰り、運転代行さんを利用させてもらった。
10社ほど電話したがどこもお休みで繋がらない中、1社だけ、電話対応も爽やかで、なんの屈託もなく仕事を受けてくれた。
30前後、短髪、まだピアスの跡が残る目尻の鋭い好男子だった。
みんな休みたいところ、快く仕事を受けてもらって、本当にありがとうございます。と感謝の気持ちを伝えるとともに、なぜそんな風に働けるのかを聞いてみた。
「自分、勤務歴は7年あって、本当は独立するつもりだったんですけど、2年前に全て任せてもらえて、今は自分で営業してるようなもんなんですよ。
自分で相方探して、自分で広告して、看板借りて営業してるんです。
やっぱり任されるとやる気が違いますよね。
昼間は介護の仕事してて、夜20時から3時までは代行の仕事してるんです。もう酒飲まないって決めて、覚悟は要りましたけどね。
家族もありますから、休んで酒飲んでグダグダするよりは代行やってた方が全然いいなって思って。
その方がお客さんのためにもなるし、金にもなるし、飲酒運転も減るしって思うんですよ。
だから今日も酒飲まずに、きっと誰か頼んでくれると思うから、電話来たら行こうと待ってたんですよ。」
僕は酔っているにもかかわらず、背筋が伸びる思いだった。
僕はこんなふうに働けていただろうか。
誇りをもち、「いつでもやります」というまっすぐな姿勢
仕事に対して誇りを持って、電話が来たらいつでもやりますと言うまっすぐな姿勢。
お酒に酔った人がお客さんなのだから、やはり苦労も多いのではないかと思ってしまうが、この人の言葉には迷いがなく、曇ったところが全く感じられない。
自分の仕事で飲酒運転が減るんだと、お客さんの困ったことを助けることができるんだと。
そして、昼の仕事が終わり、時間が余ったらいくらでも仕事をして、自分が家族を養っていけることに、誇りを持っている。
こんなふうに、迷いなく快活に仕事に臨んでいる人に、今までどれほど出会っただろうか。
この代行の店長さんと話して、
ただ、困ってる人を助ける。
頑張って稼いで家族を助ける。
そのひとつひとつが、飲酒運転を減らすという社会の役に立っている。
そういうシンプルな理解で、気持ちよく働いている事に感動した。
ひとつひとつの仕事に、素直に向き合う
僕は顧客の依頼にこんな風に対応できていただろうか。
時間外の依頼や、手遅れの依頼、治療に協力的でない事、そういう時、やはりイライラしたり、優しくできなかったりしてしまっている。
自分の大変さや、権利欲、技術欲、時間ばかり気にしてしまっている事を反省した。
改めて、僕も独りよがりな欲求は側に置いて、素直に仕事に向き合わなければいけないと思った。
仕事で困っている人を助ける。
頑張って金を稼いで、大切な人を助ける。
このひとつひとつの仕事が、薬物の乱用を防いでいる。
この1頭を治す事で、食料資源が増えて社会が豊かになる。
改めて今日から、そういう風に素直に仕事に向き合います。
頑張りましょう。
今年もよろしくお願いします。