山羊の診療Diary 症例1「子宮脱」

山羊の診療Diary 症例1「子宮脱」

今回のお話はオーナーさんからの電話
「出産後いつもと違う肉の塊みたいなのがぶら下がっている」
からはじまりました。

出産後、お母さんがお腹の中で栄養を赤ちゃんにあげるために必要だった胎盤(後産)が出てきますが、赤ちゃんが入っていた子宮がひっくり返って出てきてしまうことがあります。これを「子宮脱」といいます。

子宮脱は緊急を要するのですぐに獣医さんに連絡をしましょう。早ければ早いほど治る可能性が高くなります。

 

ヤギが出産後、子宮脱になったら。オーナーにお願いしたい緊急処置

獣医さんが来るまでにオーナーさんにお願いしたいことは

  1.  山羊を立たせておく
  2. きれいなぬるま湯で汚れを洗い流す
  3.  お砂糖をかけておく
  4. ビニールをかぶせる

です。

 

お砂糖をかけておくと出てきた子宮のむくみが軽減され、戻しやすくなります。

今回はオーナーさんからすぐに連絡があり、洗浄・お砂糖をかけておいてくれたので子宮を戻すことが可能な状態でした。

山羊の子宮脱

 

ヤギ子宮脱に対する獣医師の処置

ここからのわたしたち獣医師の処置は、

刺激の少ない消毒液で洗い、手でゆっくりとお腹の中に戻していきます。途中、痛みで力みますがゆっくりゆっくり戻します。全部の子宮が整復できた後は、再度出てきてしまわないように陰部を縫合します。最後に感染予防のために抗生物質を処方します。

この山羊さんは1週間後、無事抜糸を終え元気に赤ちゃんの子育てを頑張っていました。

 

子宮脱の原因と予防策

子宮脱の原因として太りすぎや運動不足、加齢による赤ちゃんの通り道付近の筋力の衰えなどがあり、これに難産などで強い力が加わることがあげられます。

 

妊娠中に太らせすぎないこと、適度な運動をさせてあげることが予防になります。また一度、子宮脱を起こすと次の出産時にも繰り返すことが多いので、子宮脱を起こしたことのある山羊の出産は特に気をつけてあげてくださいね。

Leave a Reply

Your email address will not be published.