山羊の診療Diary症例36 膣脱

山羊の診療Diary症例36 膣脱

今回のお話は・・・

「分娩が始まっているみたいだけど、赤ちゃんではなくて子宮がでてきているみたいにみえる。
ずっと、いきんで苦しそうだから診てほしい」

という連絡がありました。

すぐに、お電話をいただいたヤギ舎に向かいました。

すると、1頭のヤギさんが苦しそうに座り込んでいました。

ヤギさんを立たせて出ているものをしっかり確認しました。

立たせて、横から見たところ

後ろからみたところ

陰部から出ているのは、子宮でなくて膣でした。
そして子宮外口部がはっきり見えますが、ここが開いていないのでまだ分娩もはじまっていませんでした。

これは「膣脱」です。

膣脱とは・・・

膣の一部、または全部が反転して陰部から出てしまった状態をいいます。
出てしまった膣はヤギさんが立つと元に戻ることもあります。
膣が戻らずに出っぱなしになってしまうと、膣が汚れてしまい細菌感染を起こしたり、
またおしっこの通り道を圧迫しておしっこを出せなくなり危険な状態になります。
自然に戻らない膣脱をほっとくと、むくんでしまい中に戻すのが難しくなるので、
見つけた時には、早めに獣医さんに相談してくださいね。

膣脱は、分娩前と分娩後、どちらにも起こります。
分娩前は、もうすぐ分娩という妊娠後期に子宮が大きくなりこの圧迫で膣が出てしまいます。
産後は、難産の後に無理な力がかかった場合に起こりやすくなります。

膣脱は、太りすぎたり、運動不足、高齢などで赤ちゃんの通り道の筋肉が
衰えてしまうことが要因になるので、
妊娠中も運動できる環境を作ってあげると予防になります。

膣脱の治療です。

はじめに、ぬるま湯で出ていた膣の部分を洗います。

そして、ローションをつけて少しづつ、膣を陰部の中に戻していきます。

戻したときに、大量のおしっこが出ました。
出ていた膣が尿道を圧迫しして、おしっこを出すことができなくなっていました。
おしっこができなくて、これはとても苦しかったと思います。

膣を正常な位置に戻せましたが、膣脱が一度、起こるとすぐにまた出やすい状態にあるので縫い縮める必要がありました。
はじめに神経ブロックで局所麻酔をしました。肛門の横の窪んでいるところから針を刺して、脊椎からでている神経を麻酔します。

そして、18Gの注射針を利用して、巾着縫合を行いました。

このまま、分娩の始まる日をまって、分娩がはじまったら糸を切ります。
最後に、感染の可能性を考えて抗生物質の注射を打ちました。

縫合が終わって、落ち着くと、このヤギさんはすぐに草をもりもり食べはじめました。

その姿を見て、ほっと一息。
おしっこが出なくて、出そうといきむとますます膣が飛び出すという状態で
だいぶ苦しかったと思います。

このまま、分娩の日まで膣が出ないように飼い主さんにはよく観察していただくことをお願いしました。

元気な赤ちゃんヤギさんが産まれますように!!

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