山羊の診療Diary 症例8「子山羊の下痢とアレルギー・中毒症状」

山羊の診療Diary 症例8「子山羊の下痢とアレルギー・中毒症状」

生後34日齢の雌の子山羊のひまわりちゃんが朝から元気と食欲がありません。
そしてお顔を見るとなんだか眼の周りが腫れています。ヤギの目の腫れヤギの下痢気味の便
体温を測ってみると40.1℃。うんちもいつもよりゆるく下痢気味の状態でした。
聴診や体の触診ではほかに異常が見つかりませんでした。

今回の主な症状は2つあります。下痢と眼の周りの腫れです。

前回の症例(山羊の診療Diary 症例7「出産後20日の下痢」)と同様、今回は症状は2つですが原因がはっきりとわからないので
いろいろな可能性を考えてひとつずつ対策を取り体の回復のお手伝いをしていきます。

 

ヤギの下痢の原因をおさらい。色々な可能性を考え、ひとつずつ対策をとる

下痢の原因は前回の症例7でお話ししましたが・・・
もう一度おさらいしましょう!

食餌性 中毒や過食、変質飼料など
感染性 ウィルス・細菌・寄生虫など
環境性 寒さやストレス(神経性)など

はじめに感染性の下痢に対処するために抗生物質とコクシジウムの駆除を行いました。コクシジウムの症状は、感染直後でなくしばらく経ってから現れます。
コクシジウムが感染してから便の中にでてくるまでの期間をプリパテントピリオドといいます。

コクシジウムは、種類によって異なりますが一般に牛では2週齢以上の子牛で下痢を引き起こす病気です。
山羊も同様に考えるとひまわりちゃんは生後34日なのでコクシジウムの感染による下痢の可能性があります。

今回、検便では寄生虫は検出されませんでした。
しかし寄生虫に感染していても検出されないときもあるので、山羊さんの状態や月齢、感染の可能性を考えて必要と判断した場合は治療を行います。

次に食餌性の原因(アレルギーと中毒の可能性)を考えました。

今回、目の周りの腫れという症状が出ています。これはアレルギーや中毒を起こした時の代表的な症状の一つです。ステロイド剤・抗ヒスタミン剤の注射を行いました。

また、子山羊さんが長期間食べないと低血糖や低体温になる可能性がありますので、ブドウ糖添加の点滴を行いました。
これは、さらなる病気の悪化を防ぐ事と共に、自分の力で治っていくことのお手伝いの意味があります。

治療経過は・・・

注射をしてから1時間後、目の上の腫れが徐々に引いてきました。

ヤギの目の腫れが治ってきた

夕方の時点で血糖値を測定したところ少し低めだったのでブドウ糖を腹腔内に投与しました。

しばらくすると食欲が戻ってきて少しずつ乾草を食べはじめミルクも夜には飲むようになりました。次の日の朝にはいつも通りの元気なひまわりちゃんに戻りました。

 

アレルギーや中毒の可能性も。おうちでできる応急処置(獣医に連絡を)

今回はっきりした原因はわかりませんでしたが、
ステロイド剤、抗ヒスタミン剤の投与で改善が見られたことから、何かに対するアレルギーや中毒の可能性が示唆されました。

子山羊さんたちは生後10~15日齢くらいになるとお母さん山羊さんのまねをして葉っぱを舐めたりくわえたりしはじめます。

ひまわりちゃんも最近はミルクだけでなく草を食べはじめていました。
ひまわりちゃんのおうちのごはんは野草を中心としているのでもしかすると体に合わないものが入っていたのかもしれません。

山羊さんたちにとって毒になる草を食べると草によって症状は異なりますが、主な中毒症状として
貧血、便秘、下痢、神経症状や出血(血便、血尿)などが見られます。

おうちでできる応急処置として

  • ミルクをあげてみる(消化管の表面に粘膜面をつくり毒物の吸収を妨げたり、酸やアルカリを中和する。)
  • お湯やスポーツ飲料を飲ませる(消化器の洗浄効果)
  • 木炭末などの吸着剤を与える。
    などがありますが、症状に気がついた時点で食欲や元気もない場合も多いです。

お薬を自分で投与するのが困難であったり、症状が急に悪化する可能性もあるので、中毒の症状が見られたときは獣医さんに連絡することをお勧めします。

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