わたしはメリー。
毎日ここで草を食べてるの。
わたしはマリー。
毎日ここで草を食べてるの。
そこに、女の子のユリちゃんが来ました。
あ、ユリちゃんが来たー!
わーい!あそぼ〜!
ユリちゃんは言います。
メリーちゃんは、白くてきれいね!
だから、美味しいトウモロコシをあげる!
マリーちゃんは、なんか茶色くてきたない!
私はメリーちゃんが好き!
メリーちゃん、あそぼー!
わーい!あそぼー!
…。
わたしは?わたしは?
…。
向こうでメリーちゃんとユリちゃんは楽しく遊んでいます。
めーん。
わたしは…。めーん。
☆
わたしは、ユリちゃんと仲良しのメリー!
毎日ここで、ユリちゃんと遊んでるの。
わたしは、茶色くて汚いマリー。
ユリちゃんに遊んでもらえないの。
めーん。めーん。
だれかあそぼう?だれかー。
マリーちゃんは、丘を登って、
どこまでもあるいて行ってしまいました。
めーん。めーん。と泣いていました。
☆
ある日。今日もユリちゃんとメリーちゃんはなかよく遊んでいました。
日が暮れて帰るとき、ユリちゃんが言います。
メリーちゃん。今日でお別れなの。
わたしはずっと遠くに行くことにしたの。
メリーちゃん、大好き。
楽しかったわ!元気でね!
メリーちゃんはなにも言わず。
ただめーん。めーん。と泣きました。
☆
大好きなユリちゃん。行っちゃったんだ。
だれかあそぼう?だれかー。
メリーちゃんは、丘を登って、
どこまでもあるいて行きました。
めーん。めーん。と泣いていました。
何日も、何日も、あっちの草を食べたり、こっちの草を食べたりして、歩きました。
メリーちゃんはそのうち、どこに向かっていたのか、なにをめーん。と泣いていたのか、忘れてしまいました。
めーん。
ああ。今日も朝日がきれいだな。
青い草のにおいも素敵だな!
めーん。
でも、ひとりはちょっと寂しいな。
だれかあそぼう?だれかー!
あそぼう!
声とともに、向こうの茂みから、何頭かのヤギが出てきました。
そのうちの一頭は、茶色くて、汚いヤギ。
はじめまして!
わたしは、マリー!
毎日ここで、みんなと遊んでるの。
あなたのおなまえは?
はじめまして!
わたしは、メリー!
毎日だれかを、探していたの。
いっしょにあそぼう!
マリーちゃんは、茶色くてかわいいね!
うん。あそぼう!
メリーちゃんは、白くてきれいだね!
あっちの草が、美味しいんだよ!
めーん。めーん。
メリーちゃんは嬉しくて、楽しくて、
めーん。めーん。となきました。
今日もみんなで、
めーん。めーん。
多分、明日もみんなで、
めーん。めーん。
毎日、遠くの山に日が沈むまで、
みんなでなかよくあそびました。
おしまい。