山羊の診療Diary 症例12-2 山羊の起立不能(経過)~腰麻痺疑い~

*山羊の診療Diary  症例12-2 山羊の起立不能(経過)~腰麻痺疑い~

前回の記事「山羊の診療Diary  症例12  山羊の起立不能(初診) ~腰麻痺疑い~」の続きです・・・

 

腰麻痺の詳細については、山羊の診療note6 ~腰麻痺(脳脊髄糸状虫症)について~ にも詳しく說明をしています。

診療2日目: 腰麻痺の疑いから、駆除剤の注射を継続

腰麻痺の疑いで、立てなくなってしまったみやちゃんの再診2日目です。
今日も駆虫剤の注射を続けます。

腰麻痺は、指状糸状虫によって神経が損傷された部位にもよりますが
神経の損傷が軽いうちに駆虫剤の投与を行えば回復の可能性が高くなります。
その経過は、1日で回復することもあれば、1ヶ月以上経ってから回復することもあります。
しかし、残念ながら、麻痺がそのまま残ってしまうこともあります。

 

回復までの間に飼い主さんができること。看護とリハビリの重要性

治療自体は駆虫剤の投与で終わりですが、
回復までの間に飼い主さんができることがあります。
それは、看護とリハビリです。
座りっぱなしによる褥瘡(床ずれ)や誇張症を防止すること、
栄養状態が悪くならないようにすることが大切です。
また、足腰の筋肉が弱らないようにリハビリも重要になってきます。

今回、みやちゃんの看護とリハビリについていろいろ考えました。
先ほどの理由により、
一日に何度か立たせてあげることが必要ですが、
みやちゃんは70kg体重があり、なおかつ出産前でおなかも乳房も大きくなっています。

 

ロープワークのアイデアを応用し、リハビリに活かすことに

そこで、ロープを使って、お腹や乳房に負担にならないように縛り、
オーナーさんが一人でも滑車などを使って持ち上げるのはどうかと考えました。

はじめに、ゆうきさんにロープワークのアイディアをいただいて、
まずは小さな山羊さんで練習。

山羊ロープワークの練習

その後、院長先生にその縛り方を応用していただいて、
最終的にオーナーさんと一緒に持ち上げることができました。

ロープワークで山羊を持ち上げるロープでリハビリをする山羊
ヤギ腰麻痺のリハビリ
そして、一週間一日3回くらいみやちゃんをも持ち上げてもらい、
リハビリをしていただくことになりました。

 

1週間後・・・自分で立とうとする意欲が生まれる

オーナーさんの懸命な看護とリハビリの結果、
みやちゃんは後ろ足と前足の片方には力が入るようになり、
そして、自分で立とうという意欲が出てきました。

自分で立とうとする山羊

しかし、前足の片方が曲がったままになり伸ばせなくなっているのは続いていました。

前肢の麻痺

みやちゃんは今回、前足に強く症状がでているようです。
腰麻痺という名前から腰や後ろ足が麻痺してしまうイメージを受けますが、
このように前肢の麻痺で立てなくなることもあります。

前足に、義足のような支えになるものがあればもしかしたら立てるかもしれないと
可能性を探っています。

今後もリハビリを続けていただきながら、出産まで頑張れるように
みやちゃんとオーナーさんのサポートを続けられたらと考えています。

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