山羊の診療Diary症例34 熱中症&呼吸困難(鼻腔拡大手術)再手術

山羊の診療Diary症例34 熱中症&呼吸困難(鼻腔拡大手術)再手術 ③

今回のお話は、以前「山羊診療Diary症例34」でご紹介した、
オス山羊のたつくんの再手術のお話です。

病院のある南の島は、4月の晴れの日は、夏のような暑さになります。
そんなお天気が続いたある日、

「たつくんがまた苦しそうにしていて、息をしているときに音がする」

という連絡が来ました。

そこで、たつくんのヤギ舎に行ってみると、
前回と同じように鼻からいびきのような音がして苦しそうなたつくんがいました。
前回の手術でしっかりあいた鼻の穴が再び狭くなっていました。
それでも、冬の間は問題なく元気に過ごしていたそうですが、
熱くなって再び症状が出てきてしまったようです。
ガーガーとたつくんから音が聞こえます。
そこで、症状を少しでも軽くするために再手術をすることになりました。

今回さらに感じたことは、麻酔をかけても鼻を広げても相かわらずガーガーと音が聞こえたことから、
もしかすると、鼻の穴の大きさの問題だけでなく、
犬で見られる気管虚脱や軟口蓋過長症など身体の中の問題があるのかなということも考えました。

参考までに・・・

*気管虚脱とは・・・
気管が押しつぶされて呼吸が上手くできなくなる病気

子牛では気管虚脱の症例の論文がありました。

「子牛の気管虚脱の3例:外科的矯正手術の試みと病理所見
小笠原 俊実, 河原 智, 星 史雄, 山崎 憲久, 福村 俊美, 小笠原 成郎」

*軟口蓋過長症とは・・・
軟口蓋が長くなり過ぎてしまい、気管の入り口である喉頭をふさいでしまう病気

子牛では軟口蓋の異常の症例の論文がありました。

「軟口蓋背方変位(dorsal displacement of soft palate)と診断された牛の1例
檜山雅人, 田浦保穗, 高木光博, 谷口雅康, 原殿花織, 佐々木直樹」

いずれにしても、レントゲンや内視鏡の検査が必要になります。

それでは、たつくんに戻って、
たつくの手術前の写真 (鼻の穴が閉じています)

手術後の写真 (鼻の穴が開きました)

今回の術式はこのような方法にしました。
1.鼻の上の皮膚を切開する

2.縫い縮めるように皮膚の下をバッテンに縫う(左右)

3.鼻の穴の上の皮膚が持ち上がり鼻の穴が大きく開く。

今回、症状を改善するための手術となりましたが、もし気管虚脱や軟口蓋に異常がある場合、気を付けることを考えてみました。
(犬の気管虚脱、軟口蓋過長症を参考)

・太らないようにする(太ると気管のまわりに脂肪がついてしまいます)
・高温の環境に気をつける(風通しを良くする)
・激しい運動を避ける
・きつい首輪をしない

幸い、たつくんは麻酔から覚めると、いびきのような呼吸音は消えました。
しかし、これからが夏本番。
たつくん、食べすぎ注意!!そして涼しい環境を飼い主さんに整えてもらって元気に過ごしてね。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *