山羊の診療Diary症例38 耳のむくみ

山羊の診療Diary症例38 耳のむくみ

今回の症例は・・・
「子ヤギのチャーリーの耳が腫れているからみてほしい」
というご連絡がありました。
実はこの子ヤギのチャーリーくんは「山羊の診療Diary症例15 子山羊の下痢・沈うつ」
のゆきぽよちゃんが産んだ子ヤギさんです。

小さくてかわいかったゆきぽよちゃんがすっかり大きくなって、
先月、ふたごの子ヤギさんを産みました。
子ヤギの女の子がこゆきちゃん、男の子がさんがチャーリくんです。
(実はこの分娩がとても大変だったのですが・・・このお話はまたあらためて!!)

診療を受けた時、みんなで遊んでいるうちに
耳をけがして化膿してしまったのかな・・・
と考えながら診療にむかいました。

到着して、飼い主さんに様子を伺うと、
昨日から何となく元気がなくふらついているように感じる。
食欲もミルクは飲んでいるけどいつもより少ない。
そして耳が腫れているのに今日気がついた、昨日はいつもと違うところに繋いであった。
一緒にいたこゆきちゃんは元気ということをお話してくれました。

そして、チャーリーくんをつかまえて、診察をはじめました。
歩いている様子は、私が見た時はふらつきはなく正常な歩様でした。
(つかまるまで走っていました)
そして、耳を診てみると
腫れているというか耳全体がむくんでいました。
指で押すとあとが残ります。
(夕方むくんだ足のよう。低反発枕のような感触)


片耳だけでなく両耳同じ症状でした。
両耳とも外傷はなく、耳の中も外耳炎はなくきれいでした。
全身状態は、熱は平熱で栄養状態もよく、聴診、聴打診でも異常は見られず、便も正常でした。

うーん。この段階で正直原因はわからず診断はつけられませんでした。
往診での臨床の現場にいると、すぐに診断がつかないこともたくさんあります。
それでもできる検査をして、また治療の反応で症状の経過を見て診療を進めます。
でも、どうしても見逃してはいけないことがあります。
今回、院長から助言をいただいて、いろいろな可能性を考えて治療を決めました。

考えられることとチャーリーくんの症状を合わせていきました。
・ケガをして化膿して耳が腫れている→耳に傷はない、熱がない。
・外耳炎からの耳血腫→外耳炎はなし
・栄養不良からのむくみ→栄養状態は良好
・アレルギー、中毒→いつもと違う草を食べた可能性はある。目の周りなどの腫れや下痢はなし。
・水が溜まっていたら針を刺してバイオプシー検査→全体的にむくんでいるため不可。

という事で、診断はつきませんでしたが、まずは炎症をおさえる薬を使って症状が治まるかを見ることにしました。その際、感染しやすくなるため、抗生物質を併用し、また、全身状態として、飼い主さんからふらつきの問診を得ていたので、麻痺の治療として駆虫剤の投与を行いました。

状態が悪化するようなら、すぐにご連絡いただくことにして、
薬の効果がなくなる1週間後に再診としました。

そして、再診してみると・・・
すっかり、耳は元に戻り、元気になっていました。


飼い主さんにお話を伺うと次の日には両耳とも腫れがひいてきたということでした。

チャーリーくんがが元気になってほっと一息。
実はチャーリーくんのお家は海の見えるcafeなので、飲み物をいただくことにしました。
看板ヤギのお母さんのゆきぽよちゃんもでてきてくれました!
えーゆきぽよちゃん頭突きするの?!

とにかく元気になって症状もおさまってほっとした気持ちと、
はっきりと特定できなかった獣医としての悔しさを感じながらヤギさんたちと海をみていました。

シークワサーレモンスカッシュ(コーヒーもおいしいですよ!)

なかよしこゆきちゃんとちゃーりーくん

「診断がつく」ということで私は個人的にとても救われたことがあります。
診断がつくことで辛い現実もありますが、事実がわかり苦しみをこえて受け入れた時には心を決め次に進むことができます。
だから、治療は結局一緒でも、良くも悪くも結果が一緒でも、なるべく診断をしたい。
でも、一番大切なことは、目の前の動物や飼い主さん。
病気ばかりをみて動物や飼い主さんがみえなくなってしまわないようにという事をあらためて心に感じた診療になりました。

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