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夢を叶えないこと

僕ね。獣医やってるんですけど、イベント屋になりたいんです。

僕は高校生くらいの歳の子が好きなんです。
まー先入観も大いにあるんですが、
そのくらいの歳って、自分の気持ちがわからなくて、人目が気になってしまって、自分てなんだろうとか考えてて。
突き動かされるように、楽しい!とか嬉しい!とか情熱的で。でもその分、それが失われるのが怖くて無気力になったりして。
悲しいとか寂しいとかもくっきり感じている時もあって。

なんかそういう風に気持ちが揺れるのって、正直でいいですよね。そして不安定なものが、突如興奮して一気に前進する時。見てる方も興奮して、本当に嬉しいし、感動します。

だから、高校生バンドをみんなで盛り上げよう!みたいなイベントやりたいんです。

学園祭とかの感覚で、運営も出演も高校生主体でやって。

でね、そのイベントを盛り上げる為にみんなで一生懸命やったら、きっと信頼できる友達が出来たり、恋が生まれたりすると思うんです。

一生懸命やった思い出って、きっと一生忘れない宝物になると思うんです。

だから、それが出来る時間とお金に余裕が出来たら、きっとそれをやりたい!

と。ずっと思ってるし、たまにはひとに話したりしています。

で。。。
話してる時、すごく楽しいんです。バカな話ですが、本当にそんな風になったらと思うだけで感動して涙が出そうになるんです。

世間一般で言う、夢というもんなんですかね。

でね、多分少しずつ、そこに近づいてはいます。
いい歳になってきて、まあ生活は出来てて、いろいろ予測も立つようになってきました。

そうなると、
「そんなにやりたければやればいいじゃん」と言う自分がいます。そう言ってくれる人もいます。

じゃあ僕は、なんでやってないんですかね。

もしかしたら、やりたいことって、
「やりたいままで居たい事」なのかな。

夢はただ話してるだけで、けっこう楽しいです。こうなって、ああなって、あーもう楽しい。

でもね。
もしこれを本気で実現しようとしたら、うまくいかない事も想定して動かないといけません。

まず誰も、共感してくれないかもしれません。僕がひとりで興奮して「えーそんなの面倒」とか言われたら、傷つきます。誰も出たがらなかったら、それこそひとりぼっちです。仮に何名か集まってくれたとして、会議の出席率が悪くて、必要な仕事が割り振れなかったら?結局ひとりでやるんでしょうか?なんとか開催までこぎつけたとして、バンド自体が下手くそ過ぎて、シーンとしてしまったら?そもそもお客さんが誰も来なかったら?そして今まで一緒にやってくれた子たちがガッカリして「やらなきゃ良かった」なんて捨てゼリフを吐いて帰ってしまったら?

…怖い…怖すぎるでしょ…それ。

今まで僕は、誰かが「やりたい」と言う言葉を聞いたら、やる方法を一生懸命考えていました。
なんでやらないんだろう。今すぐ出来るのに。と思ってました。

でも夢って、成功するところまでが夢なんで、成功しない夢は悪夢だもんね。
これから夢見るとき、全部悪夢になっちゃうかもしれないもんね。

ブルブル。
それなら「やりたいまま」で、いいんじゃない?
そういうのを夢というのかな。

夢に向かって頑張る!のも素敵だけど、
夢を持ったまま、今の自分、目の前の課題を頑張る。
それでも、きっと自分を成長させる力にはなってくれていると思います。
それでなんとか成長していくのも、悪くないと思います。そんな風に頑張ってる人だって十分素敵です。

僕も、まー自然に叶う時が来ればいいな。

というわけで、
無理して叶えようとしなくてもいいんじゃない?夢が実現出来ない自分なんてダメだ!とか思わないで。

もちろん応援しますよ。心から。
きっと時が来たら、叶えられますよ。
そしたら祝杯あげましょう。

その時が来るまで楽しく夢を語りながら、目の前の事も頑張ってたら、けっこう清々しいもんですよ。
そんなあなたも、なかなか素敵ですよ。

という話でした。

獣医のみんなが、居たい場所をつくる

毎日仕事してれば、苦しい事もあります。
その時不満や愚痴を言うと、聞いてもらえるだけでスッキリします。もし慰めの言葉をもらえたら嬉しいです。
でもね、聞かされた相手はいくらか消耗するんです。

楽しい気分の人と一緒にいると、人は楽しくなります。そういう人は楽しい気分を周りに与えているんです。
きっとそのうち周りが幸せな人ばかりになります。

僕は楽しい気分を与える人になりたいんです。
その方が間違いなく楽しいと思うからです。

…ちょっとかっこつけた感じになりましたね。本当は周りの人に、僕をしあわせにしてもらいたいだけなんです。

だからね。
苦しい時でも最初だけは、ちょっと無理して愚痴を我慢します。まるで楽しい人かのように振る舞います。
でも頑張り続けるのは辛いので、10個楽しく過ごしたら、1個だけ愚痴を漏らしていい事にします。

そうすると多分。
そのうち周りが楽しい人ばかりになるはずです。
さらにその人逹に影響されて、自分が楽しい気分にしてもらえます。
そしたらそのうち、もっと楽しい人が増えるはずです。

僕はそういう中に居たいので、
そういう会社にしたいんです。

苦しい事があるのは、承知です。
さて、楽しく診療行きますか。
(=゚ω゚)ノ

飼い主さんの言葉 – 獣医として気をつけるべき「意図」と「意味」

獣医として、飼い主さんの言葉をそのまま鵜呑みにしてはいけない

農家さん(飼い主さん)とお話しする時、こんなことを言われます。

「先生!子牛が大分具合悪いみたいなんです。」

言葉の意味は、そのまま子牛が具合悪い。ということですね。
しかし、本人が本当にそう思っているかどうかとは一致しません。

農家さんが言う、どれくらい悪いかという言葉は、
「どれくらい不安か」という意味で、
「とにかく早く来て欲しい」という意図です。
言葉には、そのままの意味だけでなく、別の意味と意図があるんです。

 

言葉はそのまま、病気の状態を示しているのではない。「意図」と「意味」を考える

別の例を出してみましょう。
電話で獣医さんが、
「昨日治療した子牛の様子はどうですか?良くなりましたか?」と聞いてみます。

すると、
「ああ。昨日よりはいいみたい。」と言われたとします。
この言葉、病気の状態とはあまり関係ないんです。

「継続して治療して欲しい」と言う意図と、
「あんまり良くなってないけど先生がっかりしないでね」という意図があります。

もしその時、
「良くなった!もう大丈夫!」と言われたなら、本当に良くなった場合は、そのままの意味です。
しかし、もうあなたにはきて欲しくない。という意図で言われている時もあるでしょう。
時に意図は、言葉の意味も変えてしまうんです。

誰でも、どんな言葉でも。
それを発する人の意図は、同時に存在しています。
そしてほとんどの場合、言葉の意味よりずっと重要です。

あ、そうそう。
動物には言語がないので、意図もありません。

ヤギは発情すると、しっぽフリフリ。スリスリ。
ウシは発情すると、「ウオー」と鳴いて誰彼構わず乗りかかろうとします。

ヒトの場合は。。。
「今晩お食事でもどうですか?」

って言います。難しいですよね。

ウシの獣医さん、ヒトの獣医さん。やりたいことが動物の為だけに偏ると、悩むことに

獣医療は、あくまでヒトの為に

僕は、獣医療はあくまでヒトの為にあると思っています。

ヒトが幸せになる為に。
ヒトが健康である為に。
ヒトの気持ちが楽になる為に。
ヒトにやさしくする為に。
ヒトのきぼうをつくる為に。

動物の身体の専門家なのです。
動物の病気の知識を使うんです。

それをどう活用するのかは、それぞれの獣医さんに委ねられています。

例えば、
小動物の獣医さんは、「飼い主さんの気持ち」を助けています。

産業動物の獣医さんは、「畜産農家さんの収入と生活と気持ち」を助けています。

公務員の獣医さんは、「国民の食生活や健康を、伝染病や悪い微生物から守る」仕事をしています。

野生動物を診る獣医さんは、「野生動物を大切だと思う人達の気持ち」を助けています。

企業の獣医さんは、「企業活動がヒトを助ける」事を助けています。

そうして自分と、他の人を幸せにしているんです。

 

やりたいことが動物の為だけに偏ると、仕事で悩んでしまう

いや、獣医になろうと思うくらいだから、
大抵の獣医さんは動物が好きなんですよ。
動物の為になる事だって考えてます。

でも、やりたい事が動物の為だけに偏ってしまうと、仕事で悩みます。

自分のやりたい事と、誰かがやって欲しい事が近づけられれば、それほど悩まず仕事出来るんですけどね。

だから僕は、ヒトを助けるのが好きな人が、獣医に向いていると思っています。

子ヤギのオスメスを判別・見分ける方法

これがメス
メスの子ヤギ

これがオスです。
オスの子ヤギ
もっさりついてるのが陰嚢です。

☆☆書籍のご案内☆☆

書籍「ヤギの診療」 
著 寺島杏奈
出版 日本橋出版
2022.7.31発刊

雌雄の鑑別についてだけでなく、ヤギの飼い方、消化の仕組み、診断の方法、他のよくある病気についても体系的に解説しています。

☆☆☆☆

台風のつめあと

台風でヤギを風呂場に非難させた場合、こういう惨状がおきます。

第三眼瞼切除

牛には、前から後ろに向けて閉じるまぶたがあります。

上下のまぶたの他にもうひとつあるので、これを第三眼瞼(だいさんがんけん)といいます。

ココがたまに腫れて赤く飛び出る事があります。

腫れるとバイキンがつきやすくなるので、結膜炎の原因になったり、恐らく痛いんでしょう、涙が止まらなくなったりします。

第三眼瞼の腫れ

で、目薬で治療してたんですけどなかなか治らないので切除する事にしました。

切除するとこうなります。

第三眼瞼の切除後まぶた

この第三眼瞼には、涙を出す穴があいてて、涙の生産もしています。

そのため切除後に涙が足りなくなって、目が乾くと乾性角膜炎の原因になるらしいです。経験はありませんが。

ですからなるべくその部分は避けて、かつ飛び出して問題を起こさないように切ります。

第三眼瞼手術後のウシの目

はい。飛び出してませんね。あとは涙とか、目ヤニとか観察しましょう。

良かった良かった。

眼瞼損傷

何かに引っ掛けて、まぶたが切れちゃいました。

眼瞼損傷

という訳で、縫いました。

眼瞼損傷の縫合

吸収糸という溶ける糸を使って、
埋没縫合という、外に糸が出ないような縫い方をしてます。

瞬きもうまく出来てるみたいです。

写真で白目になってるのは、麻酔で寝てるからですのでびっくりしないでくださいね。

良かった良かった。

事始めのエール。獣医師キャリアの選びかた

新しい仕事・獣医キャリアの選びかた

新しい事を始めるとき、特に仕事についてですけど、

やりたい事をやるんだ!
自分のやりたい事って何?
って悩みますよね。

安定だから公務員がいいとか。
動物が好きだから獣医がいいとか。
几帳面だから事務系がいいとか。

それはそれで大切な事なんですけどね。

「やりたい事」って切り口で探すのは、多分かなり難しいです。
「事」って、そもそもやりたいなんて思わないから。
僕だって「注射する事」が大好きなわけじゃないです。

誰でも本当に求めているのは、
「どう感じるか」なんです。
「やりたい事」が先にあるんじゃなくて、
「嬉しくなる事」をやりたくなるんですよ。

嬉しい、悲しい、腹が立つ。
そういうものしか、自分を元気付けないし、
やる前から好きか嫌いかなんて誰にもわからないんです。

何かをやってくうちに、自分が嬉しかった事、楽しいと感じた事、嫌だなと感じた事。
そういう事に出会うんです。
やらないと出会えないんです。
ただ頭で考えてても、感じることができません。

だから実際、職種なんてどうでもいい。
とりあえずやってみればいい。

そこで出会ったらチャンスです。
自分が何に喜ぶんだろう。何に悲しむんだろう。
何に怒るんだろう。それに気がつく機会です。

 

目の前の仕事に取り組むなかで、自分の獣医としての価値観を見つけていく

若いひとたちは、そういう事を感じるために、とりあえず目の前のことに取り組むといいと思います。

迷ってる時間は、ちょっと厳しく言えば、
ほぼ無駄なんです。

嫌な事があってもいいじゃないですか。
「あ、それ、嫌だったんだ」と気付けるんだから。
それが仕事や友達を変えるとか、嫌な事が起こらないために何をするかとか、考えるきっかけになるんだから。
そしてまた次の行動が、新しい経験をくれます。

それを繰り返していくうちに、自分が何に喜ぶのか、見つけていけばいいんですよ。

僕は、僕たちの会社の仕事を揃えます。
事業を行う気持ちを規定します。
社員の仕事中はそれに従ってやってもらいます。それは仕方ない事なんです。

本当はみんな、人それぞれ。
大切にしている事が違うのは分かってます。

価値観を押し付けられる事は当然、社員にとっては痛い時も苦しい時もあるんです。
でもそこで気づいてください。
自分はなんでこれが痛いのかなと。
自分はこれ、好きじゃないんだなと。

そうしているうちに、
92歳のロープワーク – 仕事のやりがいになりうるのは「やってみたら嬉しかった事」 に書いた僕みたいに、
びっくりするくらい嬉しい時もあります。

そんな時わかります。
自分はこういうのが嬉しいんだって。

仕事中、嬉しいことが、辛い事より多かったら、その仕事を続けてください。
そうでないなら、やりながら何が辛いのか、何が嬉しいのかよく自分を見つめてから、行動するといいと思います。

その仕事が辛すぎるなら、きっといい仕事はできないでしょう。
楽しんで働ける職場じゃないと、職員は輝きません。

もし僕たちと一緒に働いて楽しかったら、それはとても幸せです。
でも、どうしても辛かったら、それにちゃんと気づいて、本当に輝ける職場に移れるといいなと思います。

仕事は人生において重要な場合もありますが、重要とするかどうかは自分で決めること。

辞めたところで大した事はありません。

大切なのは、自分がどう感じるかです。

92歳のロープワーク – 仕事のやりがいになりうるのは「やってみたら嬉しかった事」

ロープの結び方を、ニュースレターとして発行していたときの出来事

僕ね、毎月ニュースレターのようなものを顧客向けに発行してるんです。

今回は、ロープの結び方。

獣医学と直接関係ないし、実を言うとちょっと手を抜いたくらいの内容です。

 

92歳のおばあちゃんが、新しいことに挑戦してくれた

で、今日行った農家さんで、

「ちょっと見て。これ教えてもらったから結んでみたの。これで合ってる?」と。

牛がもやい結びで繋いであるんです。

「え!本当に?あってる。ちゃんと出来てますよ!」

「これね、今まで知らなかったんだけど、夜ロープを部屋に持って来て練習したのよ。」

「すごい!あれ、たいらさん、失礼ですがおいくつでしたっけ?」

僕ね、その情報紙出す時、いつもそこまで期待してないんです。まぁ何かの役に立てばいいかなって。

今回はあまりに驚いて立ち尽くしました。
だって92歳のおばあちゃん。
普通は会話もままならない。

いつもなら、
「何したらいい?うん。じゃーそれやっとくね〜」で終わりです。

説明や提案なんて、最初から求められてないし、こっちの話なんかほぼ聞いてないので、だいたい言われたとおりやる。
そういうものだと思ってました。

誰でも新しい事に挑戦するのは力が要るんです。それが、ただ紙一枚郵送しただけで、その内容を読み、自分でやってみて出来るようになる方がいる。
それがまさか。僕の偏見ももちろんありますが、こんなに年配の方が。

ほんとに嬉しかったです。
涙が出そうでした。

 

仕事において大切なのは「やりたい事」じゃなくて、「やってみたら嬉しかった事」なのかもしれない

「誰かが何かを出来るようになる。」という事は、自分にとって本当に嬉しい事だったんだなと分かりました。

仕事において大切なのは「やりたい事」じゃなくて、「やってみたら嬉しかった事」なのかもしれません。