10.見回り

見回りは疾病の早期発見、発情発見、分娩事故の予防、その他異常の発見のために行います。
農場ではさまざまなことが起こります。牛だけでなく動物を飼う上で変化を見逃さない事は重要です。通常業務として必ず「見回り」をする時間を確保する事が必要です。

(1)疾病発見の見回り

最低で1日2回、すべての牛の食欲と便を確認します。
さらに疾病の早期発見には以下のチェックポイントを見逃さないようにしてください。

食欲 食いつき方、腹囲、左けん部の大きさと硬さ
便 硬さと色、量
飲水 飲み方、量
呼吸 胸壁の動きで確認し、速さ、深さ、咳
口 開口、流涎
反芻 反芻回数と間隔
歩様 歩幅、足のつき方、歩き方
排尿 尿の出る回数、色、一回の量、尿流の太さ
被毛 被毛のツヤ、糞便の付着具合、脱毛
削痩 肋骨の見える本数、肩の角度
耳の角度 下がっていないか、音に反応しているか
首の角度 首を伸ばしていないか、頭を上げるのを嫌がっていないか、傾いていないかに
群の様子 群れから離れていないか、序列、闘争
飼槽 汚れと残飼の量

それぞれが何を意味するかは、他項に書きます。
まずはこれらを変化させる要因があるということを認識した上で、平常時の状態を覚えておくことが大切です。
そしてなぜこれらが変化するのか考えてください。
動物を飼うことが上手な人とは、動物の出すさまざまなサインに気づき、考え、柔軟に対処することができる人のことです。

(2)分娩の見回り

分娩前の牛は、体が分娩に近づいている兆候がどのように現れているか、また分娩開始はいつなのか見逃さないように以下の項目をチェックします。

靭帯の緩み
乳房のむくみ
陰部の緩み
粘液
食欲低下
便の軟化
尾挙上
陣痛による起伏や旋回、呻吟
破水、怒責

分娩の異常は、陣痛開始から遅くとも3時間以内に発見する必要があります。
ですから分娩直前の牛は1日8回は見回りしなければならないことになります。人員の都合で直接見回りが困難な場合や頭数が多い場合は、webカメラや分娩検出のためのIoT機器を利用します。

その他、発情発見のためにも、病気の前兆から気づくためにも、畜舎環境の温度、換気、風あたり、日照、床の濡れなどに注目して見回りを行ってください。

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