山羊の診療Diary 症例3「子山羊の低体温・低血糖」

*山羊の診療Diary症例3 子山羊の低体温・低血糖

 

生まれて3日齢の子山羊の男の子、ひまわりくんが小屋で倒れていると連絡がありました。

沖縄でも1月と2月は風が吹くと寒い一日になります。

山羊小屋に到着してひまわりくんの熱を測ると37.4℃しかなくぐったり倒れていました。

 

ヤギ低体温の主な症状と判断方法

 低体温の主な症状は

・口の中が冷たい

・蹄の間を強くつまんでも感覚がない

・ぐったりしている

 などがあります

 

体温計がないときは口の中に指を入れてみてください。冷たく感じれば、体温は37以下の可能性が高いので危険な状態であると判断することができます。

 ここですぐに温めてあげたいのですが、低体温の時は低血糖を伴っていることが多く先に体の糖分を補ってあげないと体に残っている糖分を温めることで使い切ってしまい昏睡状態におちいる可能性があります。

 

そのため、注射でお腹の中、そして点滴で血管の中にブドウ糖を体の中に入れてあげてまず低血糖の状態を改善する必要があります。

 その後、バケツに42℃くらいのお風呂を作り、ビニールにひまわりちゃんをいれてお風呂で温めます。直接お湯に入れると体が濡れてしまい湯冷めをしてしまうのでビニールに入れます。

 

 あったかーい。

低体温時、ヤギをお風呂で温める

 

お風呂では、体温計で体温を測りながら温めること

ここで大事なことがもう一つ。体温計で体温を測りながら温めましょう。体温が37℃になったらお風呂で温めるのは終わりです。

子山羊の平熱は39.5℃くらいですが37℃以上温めてしまうとその後急激に体温が上がってしまうからです。

 温まった後は、ミルクをあげます。自分で飲めないときは胃にチューブをいれて哺乳する場合もあります。

 

最後にはひまわりくんはミルクを自分で飲めるまで回復しました。

自力でミルクを飲む子山羊

 

低体温・低血糖は子山羊さんが亡くなってしまう原因としてとても多いので、寒い日は特に気をつけてあげてくださいね。

 

2 thoughts on “山羊の診療Diary 症例3「子山羊の低体温・低血糖」

  1. ワカバヤシ

    いつも参考にさせていただいております。ありがとうございます。生後14日のオス子やぎなのですが、母ヤギが産後すぐに亡くなってしまい、初乳が飲めず人工哺乳をしております。一緒に産まれたメス子やぎが生後8日くらいから足に力が入らなくなり元気がなく、ミルクも飲めなくなってしまい亡くなってしまいました。
    オスの子やぎもその後、同じように後ろ足に力が入らず立てなくなってしまい、低体温も見られた為お風呂にいれたり低血糖の対応としてポカリスエットを薄めて飲ませたりしております。今のところ食欲はありミルクもよく飲み元気はありますが、下痢になることも多く近くに診療所がない為すぐの処置が難しくて、なにか出来ることがないかと思ってコメントさせていただきました。お忙しい中申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

    Reply
    1. Uchida

      コメントをいただきありがとうございます。
      大変申し訳ありませんが、こちらでは診察をしていない個別の症例のご回答はできない事をお断りした上で、一般的なことをお話させて頂きます。

      下痢を起こす原因は多岐にわたりますが、
      「ミルクの量、回数を再度確認してみる。」ことは大切だと思います。

      *人工哺乳の目安
      3週齢まで 体重の25%
      4週齢から 体重の20%
      (給与例 生時体重3kgの場合 750mlからはじめて体重増加とともに徐々に増やす)

      *哺乳回数
      生後1週間 1日3回
      その後は1日2回
      (低血糖になりやすいようでしたら回数は3回の方が良い場合もあります)

      あくまで目安なので、ワカバヤシさまのヤギさんを観察して量や回数はご調整ください。
      その他、まだ消化できないのに草を食べていないか、配合飼料のあげ方、子ヤギさんの飼育環境は適切かなどヤギさんの様子と併せて1つづつ確認し改善することが大切です。

      拙稿「ヤギの診療」P65に子ヤギの飼料の詳細、また他のヤギ飼育の参考文献も記載しておりますので、
      ご参考にしていただければ幸いです。

      ワカバヤシさまのヤギさんが今後も元気に成長していくことをお祈りしています。

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