4)自律機能の調節と中枢

神経系と内分泌系、自律神経系について学びました。これらは生体内外の情報を脳に伝え、脳からの指令を各臓器に伝える手段でしたね。(これまでざっくり「脳」と表現していましたが、正確には脳も自律神経系の一部です。)

さまざまな変化を感知し、対応策をまとめて、調節や行動を起こす指令を出す場所を「中枢」といいます。中枢は実際に自律機能を行っている場所で、機能別に脳内や脊髄内に位置しています。

中枢は階層構造になっています。脊髄や脳幹などに一次中枢と呼ばれる中枢があり、間脳視床下部内や大脳辺縁系内などにその上位中枢があります。

それらの支配構造や調節行動は、会社組織に似ています。会社組織の営業部(一次中枢)は顧客のニーズ(生体内外の変化)を捉えて、部内で処理出来ることは部内で判断して顧客に対する行動(調節)を起こしますが、経営陣(上位中枢)からの指揮も同時に受けているというようなことです。

具体的な例を挙げると、排尿の一次中枢は仙髄に位置し、意識には上りませんが膀胱の感覚を感知し膀胱内圧を調節しています。膀胱壁の伸展が限度を超えると、この情報は大脳皮質と脳幹に伝えられ尿意を起こします。そして脳幹の排尿中枢から仙髄に対して膀胱の収縮、内尿道括約筋の弛緩等の指示が出て、排尿が起こる。というような支配関係があります。

ですから今後、「中枢」と記した時は、「情報を感知して、判断と指令をする場所」だなと考えてください。

標準生理学p396-398

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