先月から、ゆうきさんの牧場に仲間入りしたラブちゃん。
生まれたお家で中学生の女の子に大切に育てられ、
人にとても慣れています。
牧場に遊びに来てくれたお友達と一緒に
お散歩をしてみたら・・・
あら、あら、お散歩大好き。
お友達とラブちゃんとのんびりした時間を過ごしました。
ラブちゃん、これからも一緒にお散歩に行こうね!
先月から、ゆうきさんの牧場に仲間入りしたラブちゃん。
生まれたお家で中学生の女の子に大切に育てられ、
人にとても慣れています。
牧場に遊びに来てくれたお友達と一緒に
お散歩をしてみたら・・・
あら、あら、お散歩大好き。
お友達とラブちゃんとのんびりした時間を過ごしました。
ラブちゃん、これからも一緒にお散歩に行こうね!
今回の症例は・・・
牛農家さんから
「朝に牛舎にいる山羊の権兵衛に牛の飼料をあげたらもっと欲しそうだったので
牛の残渣をどーんとあげたらお腹が張って苦しそうにしていた」
という相談を受けました。
応急処置で食用油を飲ませたら、お昼過ぎに見たら少し良くなったというお話でした。
しかし、心配なので診療してほしいとのことで権兵衛くんの診療に伺いました。
さっそく牛舎に伺って見ると、
山羊の権兵衛くんが元気なく、
うーっうーっとうめきながら座り込んでいました。
立たせてもらうと、オーナーさん曰く、
朝よりはお腹の膨らみは改善されているということでした。
そのまま、聴打診という方法でお腹の聴診をしました。
ガスが貯まっていると、金属をたたいたときの音「キーン、キーン」
という音が聞こえます。
権兵衛くんのお腹は、金属音はなかったものの、通常よりお腹が膨らみ張っている状態でした。
うんちは通常の便でしたが、
全身状態は脱水を引き起こしていました。
この時点で、
前回の症例22の山羊のゆかちゃんと同じように
牛の飼料がお腹の中で以上発酵を起こし、鼓脹症になっていることと、
ルーメンアシドーシスを併発していることが疑えました。
参考記事: 山羊の診療Diary症例22 パンの耳給餌による鼓腸症及びルーメンアシドーシス
オーナーさんが牛農家さんで、鼓脹症をご存じで食用油を朝に飲ませていてくれていたので、
改善傾向ではありましたがまだお腹のがみ張りがみられたので、
口からホースを入れて胃のガスを排出しました。
今回、とても強い腐敗臭のあるガスがホースから出てきました。
そして、胃腸のお薬をホースから投与しました。
口にホースを入れたときは必ず、気管に入っていないか確認することが必要です。
気管にはいったまま投薬をすると誤飲を引き起こし、誤嚥性肺炎から亡くなってしまうこともあります。
山羊さんは4つの胃を持つ反芻動物です。
山羊さんは私たちが消化できない繊維からエネルギーを作り出せる体の仕組みを持っています。
どのように、繊維からエネルギーを作るかというと、
第1胃内には微生物がいて繊維を分解して、エネルギーを作り出しています。
このように、第1胃は微生物が繊維を分解する発酵タンクのようになっています。
誇張症とは第1胃に急に発酵しやすいごはんがはいるとガスが急激に産生され、
お腹がガスでぱんぱんに膨らむ病気です。
脱水補正のため静脈からの点滴と胃炎からの感染を防ぐために抗生物質の注射を行いました。
脱水を改善することがとても重要な治療法になります。
正常な第1胃(ルーメン)内は中性からやや酸性に保たれています。
今回のように、濃厚飼料をたくさん食べてしまった場合や粗飼料の不足、飼料の急変、
炭水化物をたくさん含む消化の良いもの
(身近なものだと・・・パン、大根、じゃがいも、りんご、ぶどう、とうもろこし)
を急に大量に食べると、第一胃内の発酵が急激に進みます。
すると、乳酸が多く作られたり、酸の吸収が追い付かなくなり、胃の中の酸性化が進みすぎてしまいます。
このように過度に第1胃内が酸性化され障害が出てきた状態をルーメンアシドーシスといいます。
ルーメンアシドーシスになると全身の水分が第1胃内に集まってしまい脱水症状となり生きていくことができなくなってしまします。
死因の多くは脱水によるものなので脱水の補正の治療はとても大切になります。
最後にオーナーさんに半日間の絶食・絶水をお願いしました。
次の日には権兵衛くんはだいぶ回復して、立っていると
オーナーさんから連絡があり一安心。
誇張症、ルーメンアシドーシスは命にかかわる病気で、
私の住む島では診療依頼が多いです。
すぐに気が付いて、治療をすれば助かる可能性が高いので、
疑いがあるときは獣医さんに相談してくださいね。
☆☆書籍のご案内☆☆
書籍「ヤギの診療」
著 寺島杏奈
出版 日本橋出版
2022.7.31発刊
鼓腸症についてだけでなく、ヤギの飼い方、消化の仕組み、診断の方法、他のよくある病気についても体系的に解説しています。
☆☆☆☆
今回の症例は・・・
オーナーさんから
「食パンの耳をたくさんもらって山羊さんにあげたら、
喜んだので食べさせたらお腹がどんどん膨らんで
元気がなくなってしまった」という連絡がありました。
診察に伺って見ると、
山羊のゆかちゃんが元気なく、お水を飲んでいました。
お腹も膨らんで大きくなっています。
聴打診という方法でお腹の聴診をしました。
ガスが貯まっていると、金属をたたいたときの音「キーン、キーン」
という音が聞こえます。
また、お腹を揺らして水分の貯まり具合を確認しました。
ゆかちゃんのお腹は、金属音はなかったものの、お腹を揺らすと
ちゃぽーんちゃぽーんとたくさんの水分がたまっている状態でした。
うんちを見てみると下痢をしていました。
また全身状態は脱水を引き起こしていました。
この時点で、
パンがお腹の中で異常発酵を起こし、鼓腸症になっていること、
下痢をしていますがうんちが出ていることから今のところ捻転や閉塞は
していないと考えられました。
そして、ルーメンアシドーシスを併発していることが。考えられました。
口からホースを入れて胃の内容物やガスを排出しました。
はじめにガスが出てきてその後、どろどろの未消化物を含んだ液体が大量に出てきました。
オーナーさんに優しくお腹を円を描くようにマッサージしてもらいながら行いました。
最後に、胃腸のお薬をホースから投与しました。
今回は胃腸のお薬を使用しましたが、ガス貯留の方が顕著の場合は食用油を投薬する場合もあります。
<注意>
口にホースを入れたときは必ず、気管に入っていないか確認することが必要です。
ホースに息を吹き込み、空気が戻ってこないこと、またホースからのにおいを確認します。
空気が戻ってきたら、肺に入っている可能性があります。
臭いは胃に入っていると胃液の臭いが確認できます。
気管にはいったまま投薬をすると誤飲を引き起こし、誤嚥性肺炎から亡くなってしまうこともあるので
細心の注意が必要です。
羊さんは4つの胃を持つ反芻動物です。
山羊さんは私たちが消化できない繊維からエネルギーを作り出せる体の仕組みを持っています。
どのように、繊維からエネルギーを作るかというと、
第1胃内には微生物がいて繊維を分解して、エネルギーを作り出しています。
このように、第1胃は微生物が繊維を分解する発酵タンクのようになっています。
鼓腸症とは第1胃に急に発酵しやすいごはんがはいるとガスが急激に産生され、
お腹がガスでぱんぱんに膨らむ病気です。
脱水補正のため静脈からの点滴と胃炎からの感染を防ぐために抗生物質の注射を行いました。
脱水を改善することがとても重要な治療法になります。
正常な第1胃(ルーメン)内は中性からやや酸性に保たれています。
今回のように、炭水化物をたくさん含む消化の良いもの
(身近なものだと・・・パン、大根、じゃがいも、りんご、ぶどう、とうもろこし)
を急に大量に食べると、第一胃内の発酵が急激に進みます。
すると、乳酸が多く作られたり、酸の吸収が追い付かなくなり、胃の中の酸性化が進みすぎてしまいます。
このように過度に第1胃内が酸性化され障害が出てきた状態をルーメンアシドーシスといいます。
ルーメンアシドーシスになると全身の水分が第1胃内に集まってしまい脱水症状となり生きていくことができなくなってしまします。
死因の多くは脱水によるものなので脱水の補正の治療はとても大切になります。
最後にオーナーさんに半日間の絶食・絶水をお願いしました。
治療後はぱんぱんだったお腹に少し余裕が生まれました。
お昼間の診療でしたがその後、夜にもう一度再診。
お腹の膨らみは落ち着いていたので、静脈からの点滴を行い
ルーメンアシドーシスの改善に努めました。
引き続き明日の朝まで絶食・絶水を指示しました。
その後オーナーさんに経過観察をしていただき、
次の日から元気が回復し2日後には下痢も治り食欲も戻ったとのことでした。
山羊さんは草食動物ですが、人間のごはんをあげると喜んで食べるこもいます。
しかし、今回のケースのように消化ができず、命の危険を引き起こす病気、
鼓腸症やルーメンアシドーシスを引きおこしてしまうことがあります。
オーナーさんも、今回、山羊さんを喜ばせようとしたのに
逆に苦しめてしまったこととても悲しんでいました。
病気の治療はもちろんですが、
やはり、山羊と一緒に暮らすみなさんに山羊さんのことをよく知っていただいて、
山羊さんの正しい飼養管理をお伝えしていく大切さを感じました。
普段の診療の時ももちろんですが、今年は基本的な山羊さんのお話を
ていねいにみなさんにお伝えしていきたいと思っています。
☆☆書籍のご案内☆☆
書籍「ヤギの診療」
著 寺島杏奈
出版 日本橋出版
2022.7.31発刊
鼓腸症についてだけでなく、ヤギの飼い方、消化の仕組み、診断の方法、他のよくある病気についても体系的に解説しています。
☆☆☆☆
12月の終わりに山羊の削蹄講習会を開催しました!
地域の山羊生産流通組合さん主催の勉強会の講師を
ゆうきさんと院長先生とを務めさせていただきました。
今回のテーマは「山羊の削蹄」です。
(前回は「山羊の病気と繁殖について」お話しさせていただきました。)
第1部では院長先生が
「山羊の蹄の構造と解剖について」と
「削蹄の際、出血した場合の対処法」についてお話しさせていただきました。
関連記事:
山羊の削蹄① 山羊の蹄の構造について
第2部ではゆうきさんが
「山羊の削蹄の基本と実際について」
実演をしながらの講義を行いました。
はじめはゆうきさんの削蹄の実演。
保定法や道具など、いろいろな質問が飛び交いました。
関連記事:
山羊の削蹄③ ~削蹄の道具~
次に、実際に参加者のみなさんに削蹄をしていただきました。
実際に、削蹄をしてみると足の持ち方やハサミの角度など見ているより難しい~。
でも、一緒にやっているうちに少しずつできるようになっていき
参加者の皆さんが笑顔になっていきました。
診療で、山羊舎に伺うと蹄が伸びすぎて歩きづらそうにしている山羊さんをよくみかけます。
講習会の終わりには「お家に帰って、自分の山羊の削蹄をしてみる」という声があちこちから聞こえてきました。
この講習会がきっかけになり、山羊さんの蹄の手入れに目を向けて頂ければ
うれしい限りです。
良いお天気の中、たくさんの皆さんに参加していただき、
終始、なごやかな楽しい講習会になりました。
削蹄講習会の資料は今後このブログでご紹介していきたいと思います。
*山羊の削蹄③ ~削蹄の道具~
今回は、削蹄の時に使用する道具のお話です。
前回の記事: 山羊の削蹄② 山羊の蹄の解剖について
山羊の削蹄では、ホームセンターなどで販売している
植木用剪定ばさみを使用します。
そして、削蹄師のゆうきさんがお勧めなのが
盆栽用のはさみです。
このように、盆栽用のはさみは爪のカーブに沿っていて使いやすいです。
この間、開催された削蹄講習会でも皆さんに盆栽用を試していただいたら
使いやすいと評判が良かったですよー。
ホームセンターやネットで購入できるので探してみてください!
次回は、削蹄の基本についての削蹄講習会ご報告の記事です。
*山羊の削蹄② 山羊の蹄の解剖について
今回は山羊の蹄の解剖についてです。
前回の記事: 山羊の削蹄① 山羊の蹄の構造について
解剖を理解することで、より本来の蹄の形に近づく削蹄を行うことができます。
また、血管の走行を知っていると、削蹄時の出血に気を付けることができます。
特に先端を切るときに出血させてしまうことが多いです。
蹄の解剖を頭に入れて、削蹄の完成のイメージをしっかりできるようにしましょう。
山羊の蹄の断面図です。
山羊の蹄は、通常の状態では末節骨と蹄底が平行になっています。
これを完成のイメージにして削蹄をしましょう。
次に断面と通常の状態を並べた図です。
写真左の赤い部分までが血管が来ています。
ここまで切ると出血してしまいます。
蹄先部を切る長さは外側からは分かりにくいので、
バチンと一気に切るのではなく、徐々に削るように切ってみてください。
また、蹄の先が伸びると血管も伸びるような感じがしますが
正しくはある程度までは血管が伸びた蹄に引っ張られるということです。
だから、魔女の靴のようにとっても長く伸びてしまっても
先端までは血管が来ていないのである程度のところまでは
しっかり一気に切ることができます。
次回は削蹄に使う道具についてお話します。
*山羊の削蹄① 山羊の蹄の構造について
山羊の削蹄について数回にわけてお話ししたいと思います。
今回は山羊の蹄の構造についてです。
山羊の蹄の構造は外側が硬く伸びが早く、内側が柔らかいお椀型の蹄になっており、
木や岩に登ることも得意です。
木に登っている山羊さんや、崖の上に登っている山羊さんの写真をみたことは
ありませんか?
そして、山羊の蹄は、1ヶ月で約2mm伸びます。
そのため、雌は1~2ヶ月に1回、雄は1ヶ月に1回の頻度で削蹄をおすすめします。
これはあくまで目安です。生活環境によって、蹄の伸びる速さは異なりますので
蹄を確認してから削蹄を行ってくださいね。
次回は蹄の解剖についてお話しします。
獣医になりたての頃は、自分が如何に獣医としてすごいかどうかが気になってしまう。
「すごい獣医」になるのは確かに難しいかもしれない。
だから、私なんて。。。と自信を失ってしまうのかな。
ある意味難しそうな仕事だからだろうか。
そのままでちょっとすごい仕事なイメージがあるからだろうか。
逆に、「命の責任を自分が負う」みたいに考えて、怯えてしまうのかもしれない。
助けられない自分なんてダメなんだ。と。
自分にできるのか?と言うところで、自信を失ってしまうのかもしれない。
でも、それは誰の役にも立たない独り言だと思う。
「すごい自分」という幻想を壊したくない、自意識過剰なだけ。また、期待されてる事を過大に考えすぎて、怯えてしまっているだけ。
ついつい、誰も気にしてない自分だけの悩みばかりに気を取られてしまう。
ある程度経験を積んでくると今度は、
そこそこ出来てる自分に甘えて、獣医というだけですごいと、傲慢になる。こんなにすごい事してるんだから、ある程度のわがままは当然だと思ってくる。
そこで、自分はこんなにすごくてエライのに、こんなに大変で、なんで文句言われなきゃいけないんだ!言う通りにしないんだ!と苦しくなってしまう。
これも仕事の成果とは無関係の独りよがりで、自分の理想とのギャップが悩みを作ってしまっているだけじゃないかなと思う。
ただ普通に仕事したら、たくさんの人が喜んで、自分も充実していくはずなのに、どうしても苦しくなってしまう。
そういう理由で、仕事が怖かったり、苦しくなったりしてませんか?
獣医の仕事はそんなに特別な事ではありません。
獣医も神様じゃなく人なんですから、できることには限りがあります。
生き物は生まれて、何かあればすぐ死んでいくんです。全て助けられるわけじゃないんです。
難病を如何に治すか。どれほど高度な研究をするか。誰より頭がいいかとか。目標のひとつに持っててもいいとは思うけど、獣医に求められていることは、そんなことじゃないんです。
患者さん、農家さんは、真面目に勉強してきた獣医さんに、自分の困った事を真摯に受け止めてほしいんです。できない事をやってほしいんです。それでもし可能なら、解決して欲しいんです。
獣医に求められているものは、ただそれだけなんです。
獣医じゃない人は注射を打つのも怖いんですよ。薬の名前を覚えたり、薬用量を計算したりするのが嫌なんですよ。それができないんじゃなく、できたとしても、決めるのが怖いんですよ。私たち獣医と同じように。
そういう人たちの代わりに、獣医として普通にできることをやったら、ちゃんと喜ばれます。感謝されます。
もし治らなくても、その姿勢に相応の気持ちを返してくれます。そういうものです。
そうしていくつもの事例に対処していくうちに、自然と力がついて、自然と尊敬されていくんだと思います。
⭐️
仕事って、シンプルで自分を輝かせる事ができるものだと思います。
産業動物臨床の仕事だったら、
今、困っている人を助ける。
頑張って金を稼いで、大切な人を助ける。
このひとつひとつの仕事が、薬物の乱用を防いでいる。
この1頭を治す事で、食料資源が増えて社会が豊かになる。
という理由で、ただ、やればいいんです。
だから、僕は今日も仕事します。
もし、僕たちの仕事を見てみたい方や、一緒にやってくれる方がいたら、いつでも連絡くださいね。
特別な才能とか要らないんです。
普通に獣医として試験に受かり、毎日治療してたら、動物の身体に対する理解や知識はついてきます。
要るのは、前の記事: 仕事に向き合う姿勢。獣医師以外の方から学ぶこと のように、仕事にまっすぐな姿勢だけです。
一緒に頑張りましょう。
元旦、会合の帰り、運転代行さんを利用させてもらった。
10社ほど電話したがどこもお休みで繋がらない中、1社だけ、電話対応も爽やかで、なんの屈託もなく仕事を受けてくれた。
30前後、短髪、まだピアスの跡が残る目尻の鋭い好男子だった。
みんな休みたいところ、快く仕事を受けてもらって、本当にありがとうございます。と感謝の気持ちを伝えるとともに、なぜそんな風に働けるのかを聞いてみた。
「自分、勤務歴は7年あって、本当は独立するつもりだったんですけど、2年前に全て任せてもらえて、今は自分で営業してるようなもんなんですよ。
自分で相方探して、自分で広告して、看板借りて営業してるんです。
やっぱり任されるとやる気が違いますよね。
昼間は介護の仕事してて、夜20時から3時までは代行の仕事してるんです。もう酒飲まないって決めて、覚悟は要りましたけどね。
家族もありますから、休んで酒飲んでグダグダするよりは代行やってた方が全然いいなって思って。
その方がお客さんのためにもなるし、金にもなるし、飲酒運転も減るしって思うんですよ。
だから今日も酒飲まずに、きっと誰か頼んでくれると思うから、電話来たら行こうと待ってたんですよ。」
僕は酔っているにもかかわらず、背筋が伸びる思いだった。
僕はこんなふうに働けていただろうか。
仕事に対して誇りを持って、電話が来たらいつでもやりますと言うまっすぐな姿勢。
お酒に酔った人がお客さんなのだから、やはり苦労も多いのではないかと思ってしまうが、この人の言葉には迷いがなく、曇ったところが全く感じられない。
自分の仕事で飲酒運転が減るんだと、お客さんの困ったことを助けることができるんだと。
そして、昼の仕事が終わり、時間が余ったらいくらでも仕事をして、自分が家族を養っていけることに、誇りを持っている。
こんなふうに、迷いなく快活に仕事に臨んでいる人に、今までどれほど出会っただろうか。
この代行の店長さんと話して、
ただ、困ってる人を助ける。
頑張って稼いで家族を助ける。
そのひとつひとつが、飲酒運転を減らすという社会の役に立っている。
そういうシンプルな理解で、気持ちよく働いている事に感動した。
僕は顧客の依頼にこんな風に対応できていただろうか。
時間外の依頼や、手遅れの依頼、治療に協力的でない事、そういう時、やはりイライラしたり、優しくできなかったりしてしまっている。
自分の大変さや、権利欲、技術欲、時間ばかり気にしてしまっている事を反省した。
改めて、僕も独りよがりな欲求は側に置いて、素直に仕事に向き合わなければいけないと思った。
仕事で困っている人を助ける。
頑張って金を稼いで、大切な人を助ける。
このひとつひとつの仕事が、薬物の乱用を防いでいる。
この1頭を治す事で、食料資源が増えて社会が豊かになる。
改めて今日から、そういう風に素直に仕事に向き合います。
頑張りましょう。
今年もよろしくお願いします。